<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

経済

ベクトルの内積について

ベクトルの内積について。 ベクトルの内積は、以下のように定義される。 「0でない2つのベクトルaとbのなす角がθのとき、|a||b|cosθをaとbの内積といい、a・bで表す。」 |a|はベクトルaの大きさである。aがn次元の空間に存在するとき、aの大きさはn個の成分…

ダイナミックGMMについてメモ

ダイナミックGMMについて。 GMMの概要については以下を参照。 hongoh.hatenablog.com パネルデータにおいて、一般に個別効果が含まれる際には固定効果モデルや変量効果モデルを用いて推定を行うが、さらに被説明変数のラグ項が説明変数に含まれる場合、ダイ…

変量効果モデルについて

本ページでは、変量効果モデルについてまとめたい。 まず、固定効果と変量効果の違いについて、以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com 変量効果モデルは、個別効果と説明変数に相関がない場合に用いるモデルとなる。推定においては、一般化最…

一般化モーメント法(GMM)について

一般化モーメント法(generalized method of moments、GMM)について。操作変数法によるパラメータ推定に際してGMMが用いられる。 モーメント法の基本的な考え方については以下を参照。 hongoh.hatenablog.com 次に、操作変数法の基本的な考え方については以…

保険における逆選択の問題について

本ページでは、保険における逆選択の問題についてまとめたい。 保険会社と加入者の間には情報の非対称性が存在する。とりわけ、加入者に隠された特性(情報)がある場合には、逆選択の問題が生じるとされる。では、逆選択とはどのような問題なのだろうか。 保…

伊藤の公式を用いて資産価格が対数正規分布に従うことを示す

本ページでは、伊藤の公式を用いて資産価格の水準が対数正規分布に従うことを示す。 ブラウン運動の定義 まず、伊藤の公式を用いる前に、ブラウン運動について定義する。 W=W(t)がブラウン運動であるとは、以下の2つを満たすことである。 (1)W_0=0であり…

ベイズ推定について

本ページでは、ベイズ推定とは何かについてまとめたい。ベイズ推定の基本的な発想は、「ある事象が発生する確率を主観的に定めて、それを客観的なデータを用いて更新していくことで、最終的により客観性の高い確率を求める」プロセスであるということができ…

回帰分析における交差項について

本ページでは、回帰分析における交差項の考え方についてまとめたい。 まず、以下のような回帰式を考える。(添え字のiを省略) Y = α + βX + ε 上式はXとYの関係を見たものであるが、XとYの関係は常に一定であるという前提を置いている。しかし、例えば何ら…

オイラー方程式について

本ページでは、マクロ経済学で登場する消費に関するオイラー方程式についてまとめたい。家計の消費行動を考える際、異時点間の消費の決定に関する理論となる。 オイラー方程式 以下、2期間(1期、2期)のモデルを考える。 家計は消費(C)によって効用を…

VARモデルにおけるインパルス応答関数について

本ページでは、VARモデルにおけるインパルス応答関数とは何かについてまとめたい。VARモデルの基本的な概要については、以下のページでまとめている。 hongoh.hatenablog.com インパルス応答関数は、一言でいえば、ある変数に生じたショックが、時間を通じて…

構造VARとは何か

本ページでは、構造VARとは何かについてまとめたい。 VARとは何かについては以下にまとめている。 hongoh.hatenablog.com 以下で用いる数式は、Enders and Walter(2015)を基にしている。 構造VAR 時系列データであるyとzの関係をVARモデルで記述することを考…

分散共分散行列と現代ポートフォリオ理論

本ページでは、現代ポートフォリオ理論において計算するポートフォリオ全体の収益率の分散を、分散共分散行列を用いて表現する方法についてまとめたい。(理論の概要についてはここでは触れないので、他の参考書等を参照。) 分散共分散行列とは、ベクトルの…

ハウスマン検定について

本ページでは、ハウスマン検定の概要についてまとめたい。とりわけ、ここではハウスマン検定を用いた固定効果と変量効果の判定について取り上げる。 固定効果と変量効果の概要については以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com また、本ページ…

保険におけるモラルハザードについて

本ページでは、保険におけるモラルハザードの問題についてまとめたい。 保険会社と加入者の間には情報の非対称性が存在する。とりわけ、加入者に隠された行動がある場合には、モラルハザードの問題が生じるとされる。では、モラルハザードとはどのような問題…

同時分布の考え方と多変量正規分布について

本ページでは、同時分布の考え方と、多変量正規分布についてまとめたい。 同時分布とは まず、具体例として、ある会社における株価と収益の増減の関係について考える。株価の変化(X1)が-5%、0%、5%のいずれかであり、会社の収益(X2)は-10%、0%、10%のいず…

ダミー変数×説明変数による交差項の利用について

本ページでは、回帰分析における交差項の利用についてまとめたい。 まず、以下のような回帰式を考える。 Y=a+bX+cD+e Yは被説明変数、Xは説明変数、aは定数項、eは誤差項である。そして、Dはダミー変数であり、例えば大企業ならD=1、中小企業ならD=0というよ…

ドーマー条件について平たく説明

本ページでは、ドーマー条件とは何かについてまとめたい。ドーマー条件とは一言でいえば、財政の安定化を示した条件である。 t期末の債務残高Dは、t期末のプライマリーバランス(債務の返済を除いた財政収支)PBと、前期までの債務残高、利払費(利子率r…

財政政策の効果について(乗数効果、クラウディング・アウト)

本ページでは、財政政策の効果についてまとめたい。 ここでは、以下のIS-LM分析を前提とするので、こちらも併せて参照されたい。 hongoh.hatenablog.com 乗数効果 まず、財市場の均衡条件は以下のように表せる。 Y = A+c(Y-T)+I(r)+G Aは基礎的消費、cは…

需要法則(価格が上がると需要は下がる)は常に正しいか

需要法則とは、価格と需要に逆相関がある、つまり需要曲線が右下がりになるというものである。この需要法則は常に成り立つのだろうか。 このことについて検証するために、ある財(財1)の価格が上昇した時の財の消費量の変化を、以下のように分解してみる。 価…

端点解について

2つの財の消費量を決定する個人を考える。このとき、どちらかの財の消費量が0となる場合(つまり予算制約線の端、x軸またはy軸上の点)が最適解となる場合がある。こうした解を端点解という。 通常は2つの財の価格比が限界代替率と等しくなる点が最適解とな…

見かけの相関(疑似相関)について平たく説明

本ページでは、見かけの相関(疑似相関)についてまとめたい。 まず、以下のような回帰分析を考える。 例えばyを血圧、xを年収とする。そして、β_1が正の値をとり、年収が高いほど血圧が高くなるという関係が得られたとする。この結果をもって、年収と血圧…

行列の固有値と固有ベクトル、対角化について

本ページでは、行列の固有値と固有ベクトル、対角化についてまとめたい。 固有値と固有ベクトル vをベクトル、Aを行列、λをスカラーとすると、正方行列Aについて、 Av=λv となるようなvが存在する時、vをAの固有ベクトル、λをAの固有値という。 このとき、A…

ランダム化比較実験(RCT)とは何か

本ページでは、ランダム化比較実験(RCT: Randomized Controlled Trial)の考え方についてまとめたい。 因果関係をどう捉えるか ランダム化比較実験の基本的な目的は、因果関係を特定することにある。例えば灌漑施設の建設が経済発展にどのような効果をもたら…

供給曲線が限界費用曲線と等しくなるのはなぜか

本ページでは、供給曲線がなぜ限界費用曲線と等しくなるのかについてまとめたい。 以下、完全競争市場で、価格が所与の場合を想定している。そして、x軸が生産量、y軸が価格の曲線を考える。 企業は財の供給により発生する利潤が最大化するよう、生産量を…

AD-AS曲線について

本ページでは、AD(総需要)‐AS(総供給)曲線の導出についてまとめたい。 AD‐AS曲線は、横軸の生産量と、縦軸の価格水準との関係を見たものである。そして、価格が硬直的な短期の経済を前提としている。 総需要曲線 まず、総需要曲線の導出から考える。総需…

国際収支統計と資本流出・資本流入の考え方

本ページでは、国際収支(Balance of Payments)の統計について概要をまとめたい。 経常収支 経常収支(Current account)=貿易収支(Goods)+サービス収支(Service)+第一次所得収支(Primary income)+第二次所得収支(Secondary income) となる。それぞれの定義…

モーメント法とは何か

本ページでは、回帰分析においてパラメータを推定する方法の1つであるモーメント法についてまとめたい。 まず、以下の回帰式を考える。 y=α+βx+ε ここで、回帰パラメータはαとβである。この回帰分析を行うにあたり、 誤差項の期待値がゼロ、説明変数と誤差…

共和分について

本ページでは、共和分についてまとめたい。 本ページで登場する定常性や単位根といった時系列データ分析における基本的な考え方については以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com 共和分 単位根過程に従う2つの系列、x、y(期を表す添字のtをこ…

ベクトル自己回帰(VAR)モデルとは何か

本ページでは、ベクトル自己回帰(VAR)モデルとは何かについてまとめたい。 時系列データ分析における基本的な考え方である定常性や自己相関、ARモデル等については、以下の2つのページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com hongoh.hatenablog.com VARモ…

操作変数法とは何か

本ページでは、操作変数法とは何かについてまとめたい。 回帰分析を行うことによってY(被説明変数)とX(説明変数)の因果関係を明らかにしたいとする。言い換えるとX→Yの因果があるかどうかを検証したいという状況を考える。 回帰分析を行ってXの相関係数…