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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

銀行

VaR(バリューアットリスク)とは?その基本的な考え方について

本ページでは、VaR(Value at Risk、バリューアットリスク)とは何かについてまとめたい。VaRは、金融機関のリスク管理において、リスク量を計測する手法である。 VaRの基本的考え方 金融機関は、貸出や株式投資など、資産を様々な形式で運用することにより収…

課題だらけの地方銀行-成長か安定か

多くの地銀が苦境に立たされている。都市部への一極集中や地方における人口減少などの社会構造的な問題による融資先の減少に加え、長らく続く低金利環境による利鞘の縮小で、融資による収益が少なくなってしまっている。 しかし、地銀は地域にとっての「イン…

地方創生と地方銀行

本ページでは、地方創生において地方銀行にどのような役割を求められているのかについてまとめたい。 地方創生の意義 政府は、2014年にまち・ひと・しごと創生本部を設置することを閣議決定し、地方創生を大きな政策目標の1つとして掲げたが、そもそも…

資産バブルと金融危機の関係ー北欧の事例ー

日本ではバブル崩壊から7年ほどのタイムラグの後、不良債権の表面化等により金融機関が破綻するなど、危機が表面化した。一方、日本とほぼ同時期に、北欧においても金融危機が生じた。もちろん、規模等が異なるため 正確に比べることは困難だか…

信用保証とは何かについて分かりやすく

本ページでは、信用保証とは何かについてまとめたい。一言でいえば、中小企業が金融機関から融資を受ける際、返済が仮に難しくなったとしても、保証人が代わりに返済する仕組みである。信用保証協会法に基づき各都道府県に設置された公的な機関である「信用…

日本における1997年の金融危機について―個別事例の検証―

本ページでは、97年の日本の金融危機についてまとめたい。この時期、日本では多くの金融機関が破綻に追い込まれた。 三洋証券 証券業界の準大手であった三洋証券は、バブル期の積極的な経営(繰り返しの合併など)で成長を遂げた。しかしこれは、過剰な設備…

金融機関破綻の原因について考えてみる

本ページでは、金融機関がどのような原因で破綻するのかについて考えたい。とりわけ、90年代の日本における金融危機について着目してみる。 ここでは、預金保険機構の『預金保険研究』(2005年)にある「金融機関破綻に関する定量分析」の分析結果を読み解…

みずほ銀行システム問題に見る銀行業界における市場原理の問題

日本の三大メガバンクの一つに数えられるみずほ銀行において、2021年、ATMが使えなくなるなどのシステム障害が相次いでいる。 通常の産業では、市場原理により企業間で新陳代謝が起こるが、金融業界、特に銀行業においてはそれが難しい。まず、厳しい参入規…

銀行における健全な競争と経営の安定のジレンマ

少子高齢化や人口減少の影響で、特に地方銀行において、経営が厳しくなっている。地方経済の縮小により、融資先が少なくなり、さらに長引く低金利環境により利鞘も縮小している。 進む地銀同士の経営統合 収益悪化に苦しむ地方銀行が大きくなると、一つの選…

信用リスクとは何か

本ページでは、信用リスクとは何かについてまとめたい。一言でいえば、信用供与先の支払いが滞るリスクということができる。 「信用リスク」「信用供与」といった言葉は金融業界で頻繁に使われ、「信用を供与すること、そしてそれに伴うリスク」と説明される…

「与信」という言葉について

「与信」という言葉は金融業界で頻繁に使われ、「信用を供与すること」と説明される。しかし、「信用を与える」ことと言われても、具体的になイメージは湧きにくいのではないか。 やや乱暴であるかもしれないが、要するに与信とは「相手を信用すること」と捉…

銀行における金利リスクについて

本ページでは、銀行において「金利」がどのようなリスクを孕むのかについてまとめたい。 まず、銀行の業務は、貸出や預金を中心とした取引に関する銀行勘定と、短期的な売買益を確保するために行う有価証券などの取引に関するトレーディング勘定に大別される…

「コア業務純益」と投資信託解約益の問題

本ページでは、主に地銀の収益性の文脈で議論される「コア業務純益」と投資信託解約益についてまとめたい。 銀行の収益性 銀行の決算資料を見ると、財務諸表の数値の他にも、収益性や健全性を示す指標が様々開示されている。 業務粗利益 銀行粗利益とは、銀…

安定調達比率とは何か

本ページでは、バーゼル規制における安定調達比率とは何かについてまとめたい。 流動性リスクの顕在化により、銀行の健全性が損なわれると、金融システム全体、ひいては実体経済にまで影響を及ぼしかねない。そこで、バーゼルⅢでは、流動性確保のために、流…

流動性カバレッジ比率とは何か

本ページでは、バーゼル規制における流動性カバレッジ比率とは何かについてまとめたい。 流動性リスクの顕在化により、銀行の健全性が損なわれると、金融システム全体、ひいては実体経済にまで影響を及ぼしかねない。そこで、バーゼルⅢでは、流動性確保のた…

銀行の流動性リスクについて

本ページでは、銀行の流動性リスクについてまとめたい。 ある資産の流動性があるとは、市場で十分な取引量がある等の理由により、「資産を市場から調達しやすい」あるいは「資産を売却して換金しやすい」といったことを意味する。 銀行における流動性リスク …

銀行には貸金業法は適用されない?

貸金業法は、金銭の貸付を営む業者に対する規制を定める法律である。貸金業法に定める「貸金業者」は、主に消費者金融やクレジットカード会社等を想定したものとなっている。 ここで、「お金を誰かに貸し付ける業者」として本来最も代表的なものは、銀行であ…

ダブルギアリング規制とは何か

本ページでは、ダブルギアリング規制とは何かについてまとめたい。 ダブルギアリング規制とは、銀行などの金融機関が、他の金融機関に出資することを規制するものである。金融機関どうしがお互いの資本を持ち合っている状況をダブルギアリングというが、この…

銀行の主な「業務範囲規制」とその目的について

本ページでは、銀行に課せらている主な「業務範囲規制」の内容と、そうした規制を課すことの目的・意義についてまとめたい。 銀行の「業務範囲規制」 銀行は、その業務範囲について厳しい規制が課されている(業務範囲規制)。具体的には、 銀行の業務範囲は…

「ワンウェイ規制」とは何か

本ページでは、銀行の「ワンウェイ規制」とは何かについてまとめたい。一言でいえば、銀行が他業種に参入することは厳しく禁じられている一方、他業種の企業が銀行業に参入することは可能であるという、非対称な規制の実態を指す。 まずは、そもそも銀行の業…

地銀の収益構造-融資偏重から有価証券運用へ-

地銀の収益構造の転換が迫られている。伝統的には地銀の収益源は地域企業への融資が中心であった。しかし、都市部への一極集中や地方における人口減少などの社会構造的な問題による融資先の減少に加え、長らく続く低金利環境による利鞘の縮小で、融資に頼る…