<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

AD-AS曲線について

本ページでは、AD(総需要)‐AS(総供給)曲線の導出についてまとめたい。

AD‐AS曲線は、横軸の生産量と、縦軸の価格水準との関係を見たものである。そして、価格が硬直的な短期の経済を前提としている。

 

総需要曲線

まず、総需要曲線の導出から考える。総需要曲線は、IS-LM分析から導出することができる。IS-LM分析については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

 

LM曲線はM/P=L(Y,r)で表せる。価格Pが増加すると左辺は減少するため、右辺(貨幣需要)も減少しなければならない。貨幣需要はrの減少関数であるから、右辺が減少するとき、rは増加しなければならない。よって、LM曲線は上方にシフトする。このとき、横軸のYは減少する。したがって、価格が上昇するとき、生産量は減少するため、総需要曲線は右下がりになる。

 

総供給曲線

総供給曲線は、右下がりの労働需要曲線と右上がりの労働供給曲線が均衡する労働市場を基に導出する。なお、ここでは、名目賃金に下方硬直性があると仮定する。名目賃金が伸縮的でないとする仮定は、ケインズ派の理論に基づいている。ケインズ派と対立する新古典派の考え方については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

労働市場において、労働需要と労働供給は実質賃金(W/P)に基づいて決定される。いま、労働供給と労働需要が均衡していたとする(完全雇用)。仮に価格Pが減少すると、名目賃金Wが硬直的なので、W/Pは増加する。すると、労働供給が労働需要を上回り、失業が発生する。このとき、雇用労働者数は均衡点よりも減少する。労働投入量が減れば生産量も減る。以上より、価格が減少すると生産量も減少することから、生産量と価格の間には右上がりの関係が認められる。

 

なお、もし名目賃金は伸縮的に調整されるとする古典派の立場に立つならば、価格の水準に関わらず労働市場完全雇用を達成しており、つまり生産量に変動は生じず、総供給曲線は垂直になる。

 

財政政策、金融政策の効果

財政政策、金融政策はYを増大させるため、AD曲線を右側にシフトさせる。新たな均衡点では、生産量・価格水準ともに増加している。