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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

所得代替率とは?その計算方法は?

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本ページでは、所得代替率とは何かについてまとめたい。所得代替率とは、一言でいえば、退職後に給付される公的年金の額が、現役時代の収入と比べて何割ほどになるかを示したものである。

 

所得代替率の計算方法

公的年金の支給額が分子、現役時代の収入が分母となる。

 

公的年金には、国民全員が加入し支給額も収入に依らず一定の国民年金に加え、サラリーマンが加入し収入に応じて受取額も変わる厚生年金がある。

 

例えば現役時代の月収が平均して40万だったとして、退職後公的年金の給付額が20万であるならば、所得代替率は50%ということになる。

 

当然、この所得代替率は人によって異なる。現役時代に収入が多かった人は、収入と比べると公的年金の支給額は比較的小さくなるので、所得代替率は小さくなる。これは、年金が所得再分配の機能があることを意味している。

 

所得代替率という指標の意味

所得代替率は、「公的年金だけで現役時代の収入をどれだけ賄えるか」を示している。仮に所得代替率が100%であれば、公的年金だけで現役時代と変わらない暮らしができる訳だが、そうでなければ、貯蓄を取り崩したり、私的年金などの手段を通じて残りを埋め合わせるということになる。

 

国は5年に1度、公的年金が持続可能かどうかを検証する「財政検証」を行なっており、国民の平均的な所得代替率が数十年後どうなるか、推計を行なっている。

 

少子高齢化が進み、「少ない現役世代によって多くの高齢者を支える」状況になっている。少子高齢化が今後も継続する状態で年金制度が持続可能になるには、現役世代の保険料支払いを増やすか、高齢者の給付を減らすしかない。

 

財政検証では、将来の出生率やマクロ経済動向の予測をもとに推計を行なっているが、経済が順調に成長する仮定を置いたケースでも、21世紀半ばの所得代替率は50%を超える程度である(あくまで平均的な所得代替率である点に注意。上記の通り、個々人によって所得代替率は異なる)。

 

公的年金だけに頼るのではなく、資産運用などその他手段で、一定の老後資金を確保する必要があるのだろう。

 

(参考)将来の公的年金の財政見通し(財政検証) |厚生労働省