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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

銀行には貸金業法は適用されない?

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貸金業法は、金銭の貸付を営む業者に対する規制を定める法律である。貸金業法に定める「貸金業者」は、主に消費者金融やクレジットカード会社等を想定したものとなっている。

 

ここで、「お金を誰かに貸し付ける業者」として本来最も代表的なものは、銀行であろう。メガバンクなどの大手銀行は、融資の他に銀行業務の一環として、キャッシング、カードローンといった、消費者金融的側面のある貸付業務を行なっている。

 

銀行のこうした業務について、本来必要であるはずの貸金業の登録は不要となっている。なぜなら、銀行には「銀行法」という別の法律が設けられているためである。

 

ただし、ここでひとつの問題が生じる。

 

貸金業法の「総量規制」の問題

貸金業法においては、「総量規制」が重要な規制となる。総量規制とは、申込者の年収の三分の一を超えて貸し付けてはならない、というもので、2000年代前半に社会問題化した多重債務問題への対策のため導入された規制である。

 

貸金業法に定める「総量規制」も、銀行には適用されないという点は特筆に値する。すると、銀行による貸付サービスであれば、年収の三分の一以上でも貸し付けることができるということであり、法の潜脱になっているのでは、との指摘も出た。

 

そこで、全国銀行協会は2017年に「銀行による消費者向け貸し付けに係る申し合わせ」を発表。その中で、各銀行に対し「配慮に欠けた広告・宣伝の抑制」「健全な消費者金融市場の形成に向けた審査態勢等の整備」を求めた。

 

現在では、銀行においても総量規制に準じて契約を行うなど、貸金業法を踏まえた対応を講じているところもあり、銀行においては自主規制が浸透している。

 

一般社団法人全国銀行協会(2017)「銀行カードローンに関する 全銀協の取組みについて