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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ブロックチェーンは「信用のあり方」を変える

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ブロックチェーンと聞くと、「仮想通貨」で用いられる技術、とイメージする人が多いかもしれない。確かにそれは一つの側面ではあるが、ブロックチェーンはこれまで当たり前であった「信用」の在り方を大きく変える存在となるかもしれない。

 

これまで、社会のあらゆる場面で「信用」の付与は極めて重要な要素であった。例えば財取引を行う際に使う紙幣は、いわばただの紙切れである。なぜこの紙切れによってどこに行っても取引が成り立つかというと、人々は皆この紙幣を「信用」しているからである。そしてこの「信用」は、国家という権力がこの紙切れにお墨付きを与えることによってもたらされている。

 

クレジットカードによって、商品の購入時よりも支払いのタイミングを遅らせることができるのは、カードの保有者がきちんと支払いを履行するということが「信用」されているからであるが、なぜ「信用」されているかと言えば、カード会社がカード保有者の資産状況等を審査することにより、お墨付きを与えているためである。

 

このように、「信用」は社外経済活動において重要な要素を占めているが、これは従来国や大企業などの「権威」が社会経済活動の間に入って、「信用」のお墨付きを与えることによって成立していると言える。

 

ここで、ブロックチェーンはこの「信用」の在り方を大きく変える可能性を持つ。ブロックチェーンを通じて行われた取引は、国や企業といった権威によってではなく、見知らぬ人の「マイニング」という行為によってお墨付きを与えられる。マイニングをする動機は、その行為によって報酬(暗号資産)を得ることができるためである。この仕組みを「プルーフオブワーク(Proof of Work)」という。他にも信用付与の形態は存在するが、いずれも非中央集権的である点は共通している。

 

つまり、信用の付与を、中央の権威によってではなく、個人の利己的な行為によって行おうという思想がブロックチェーンの根幹である。この非中央集権的な仕組みが社会経済活動のあらゆる側面にまで広まれば、既存の政府や、大企業の在り方を大きく変える可能性を持つ。