<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

信用リスクとは何か

f:id:hongoh:20210622215646p:image

本ページでは、信用リスクとは何かについてまとめたい。一言でいえば、信用供与先の支払いが滞るリスクということができる。

 

「信用リスク」「信用供与」といった言葉は金融業界で頻繁に使われ、「信用を供与すること、そしてそれに伴うリスク」と説明される。しかし、「信用を与える」ことと言われても、具体的になイメージは湧きにくいのではないか。

 

やや乱暴であるかもしれないが、要するに与信とは「相手を信用すること」と捉えて良いと考える。そして重要なのは、相手を信頼した結果、何ができるのか、ということである。そして、「信頼が裏切られる」ことが信用リスクということができる。

 

「与信」「信用」という言葉は、金融の中の様々な文脈で登場する。

 

銀行

銀行の場合は、企業や個人を信用した結果、お金を貸すのである。貸したお金をきちんと返済してくれる人・企業であると「信用」したからこそ、融資を実行できる。よって、「銀行の与信行動」とは貸出に他ならない。

 

そして、相手を「信用」した結果、貸し出したお金が帰ってこない可能性がある。これこそが「信用リスク」であり、信用が裏切られたということである。

 

 

社債

社債投資のことを「クレジット投資」という。債券は株とは違い、返済が義務付けられている。投資家は、企業が義務を守ってきちんと返済してくれることを「信用」して、利回りを求めて投資をするのである。ジャンク債と呼ばれる高利回りの債券が「クレジットリスクが高い」と呼ばれることがあるが、それはジャンク債を発行する企業が返済義務を履行しない、つまり「信用を裏切る可能性が高い」ためである。

 

デリバティブ

スワップ等のデリバティブ取引においては、近い将来のある時点における支払い・受け取りが前提となっている。これは、「その時点まで取引相手が破綻せず支払い能力を持っていること」を「信用」していることに他ならない。もし取引相手が破綻してしまうと、デリバティブ取引によって受け取れたはずのリターンを享受できなくなってしまう。その意味で、こうしたデリバティブ取引にも信用リスクは存在する。特に、こうしたリスクを「カウンターパーティリスク」という。

 

企業間取引

金融業界以外でも、一般の企業間の取引においても「信用」という言葉は使われる。片方がもう片方に商品を渡すとき、その対価であるお金が即座に支払われるのであれば、「信用」が登場する幕はない。しかし、商品の額が大きかったり、資金繰りの都合上、商品の受け渡しよりも後に代金を支払わざるを得ない場合がある。代金の支払いを商品の受け取りよりも後にすることを商品を渡した側が認めるのは、相手を「信用している」からに他ならない。

 

しかし、その信用とは裏腹に、代金の支払いが滞る危険性もあり、これこそが「信用リスク」に他ならない。

 

以上、様々な文脈で「信用リスク」という言葉は登場するが、誰が何を信用しているのか、信用した結果何を提供するのか、そして信用が裏切られた結果何が起こるのか、を意識すれば、その意味するところを理解できるはずである。