本ページでは、経常収支と為替レートの関係についてまとめたい。
経常収支とは
経常収支とは、「貿易・サービス収支」、「第一次所得収支」、「第二次所得収支」の合計である。
貿易・サービス収支とは、貿易収支とサービス収支の合計で、実体取引による収支を意味している。
第一次所得収支とは、対外金融債権・債務から発生する利子や配当金などの収支の状況を指す。具体的には、株式の配当や債券・貸付の利子等が該当する。
第二次所得収支とは、居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供による収支の状況を示している。これは、具体的には寄附や贈与が該当する。
経常黒字の場合の為替レート
経常収支は、典型的には輸出の増加によって黒字化する。日本では、1980年代に自動車産業を中心に国際競争力が高まり、輸出が増加したことにより、大幅な経常黒字が続いた。
経常黒字になると、自国通貨と外国通貨のレートはどう変わるのか。
日本が経常黒字になった場合を考えてみる。貿易やサービスの輸出を通じて、外国から多くの外貨を獲得することができる。多額の外貨を得た日本企業は、日本国内で使用できるよう外貨を売り、円に換金しようとする。そうすると、外貨の供給が増加する一方、円の需要が高まるので、経常黒字は円高要因になる。
経常赤字の場合の為替レート
反対に、輸入が多くなると経常赤字になっていく。このときの為替レートは、再び日本を例に取ると、輸入を通じて日本企業が多くの円を支払い、各国の企業は自国内でそのお金を使えるよう自国通貨に換金する。よって、円の供給が増えて外貨の需要が高まるので、経常赤字は円安要因となる。
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