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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

グローバルな金融グループのビジネスモデルとは?

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世界にはグローバルに活動する大規模な金融機関が存在する。例えば、ゴールドマンサックス、JPモルガンBNPパリバなどが挙げられるだろう。こうした金融グループは、どのようなビジネスを通じて収益をあげているのだろうか。以下、その全体像をまとめたい。当然、各社によって注力する分野は様々であり、かつ以下に挙げるビジネス以外も手掛けている例は数多くあるが、あくまで代表的な分類として捉えていただきたい。

 

①バンキング部門

いわゆる商業銀行である。リテール(個人)向けとホールセール(法人)向けがあり、預金と貸出により発生する利鞘により収益をあげる。リテールを行わず、法人向けのみ行う金融グループも存在する。さらには、銀行に典型的な業務として送金や振込などの決済業務がある。

 

②資産運用部門

投資家からの出資を募り、ファンド等を通じて様々な資産に投資を行い、リターンを得ることを目指す。あるいは、資産額に応じたフィー収入や、リターンに応じて変動するフィー収入が主要な収益源となる。いわゆる"フィービジネス"の代表格であるが、ファーのもととなる投資家からの資産はそう簡単に減少しないため、安定的な収益源として期待ができる。

 

いわゆる富裕層向けに資産運用・管理ビジネスを提供する「ウェルスマネジメント」という部門を置く金融グループもある。「プライベートバンク」という名前も似た文脈で使われるが、ウェルスマネジメントはより顧客資産の運用という側面を強調した、プライベートバンク業務をさらに拡張させたものとして整理されることが多い。スイスに本拠地を置くUBSはウェルスマネジメントで有名である。

 

③マーケット部門

いわゆる証券会社のビジネスである。(1)自己勘定の取引による収益、(2)顧客(リテール、法人)の市場取引の仲介による収入、が代表的である。(1)は市場での売買によって得たリターンがそのまま収益となる。(2)は顧客の市場取引を通じて仲介手数料を得ることで収益をあげる。

 

また、ヘッジファンドをはじめとするプロの投資家に対して、市場取引における売買の執行や管理、信用供与(レバレッジの提供)などを提供する「プライムブローカレッジ」というサービスも存在する。2021年、アルケゴスというファミリーオフィスに対して行った信用供与により、複数の金融機関において多額の損害が生じた。

 

投資銀行部門

大きく分けて2つのビジネスがある。一つは企業の資金調達支援である。企業が株式あるいは社債を発行することにより資金調達を行おうとするとき、企業の努力のみでいきなり投資家に発行した株式・債券を全て買ってもらうことは難しいので、まず金融機関に「引き受けて」もらう。つまり、いったん株式・債券を全て買い取ってもらうということである。そして、金融機関がそれらを投資家に(企業から買い取った金額より高値で)売りさばく。企業にとっては安定的な資金調達が期待できるし、金融機関は購入額と売却額の差で収益をあげられる。

 

もう一つのビジネスは企業のM&Aの仲介・アドバイスである。企業買収の戦略についてのアドバイスや、買収しようとする企業の方の算定(バリュエーション)といったサービスが典型的である。企業からの手数料が収益源となる。

 

金融グループの組織構成

企業によって様々だが、例えば日本のメガバンクの場合、ホールディングスという形で親会社(銀行持株会社)が存在し、その子会社として各部門を担当する会社がぶら下がっているケースが一般的である。例えばみずほを例にすれば、みずほフィナンシャルグループという銀行持株会社の下にみずほ銀行みずほ証券、アセットマネジメントONE(資産運用会社)がある。

 

(参考):

齋藤 裕(2016)『金融業界大研究』産学社