<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

通貨危機と外貨準備ーロシアのウクライナ侵攻の事例ー

f:id:hongoh:20220316222306j:image

本ページでは、通貨危機と外貨準備をテーマにまとめたい。

 

通貨危機とは

通貨危機とは、ある国の通貨の対外的な価値が著しく低下し(つまり極端な通貨安になる状態)、その国の経済にとって大きな打撃となる状況を言う。

 

通貨の価値は国の信用力で決まる。国の信用力は、経済力ももちろんだが、債務の返済能力も関係する。債務の返済能力が低いとみなされた国は信用が失墜し、その国の通貨に対する需要は急激に下がり、通貨安となる。

 

通貨安になると、輸入物価が上昇し、国民の生活に大きな影響を及ぼすこととなる。さらに、外貨の調達が困難となる。ドル円を例にとってみれば、1ドル100円なら100円あれば1ドルを調達できたのが、1ドル200円になってしまうと、200円ないと1ドルが調達できないのである。こうなると、外貨建ての債務の支払い等が困難になる。

 

過去には、1990年代後半にアジアの諸国で通貨危機が生じた。また、2022年ロシアがウクライナに侵攻したことによる西側諸国による経済制裁等により、ロシアと各国の取引は激減し、その結果ルーブルの需要は著しく低下した。そしてロシアは、外貨建ての国債の支払いが困難になった。

 

外貨建ての債務の返済のために必要なのは、外貨準備である。

 

外貨準備とは

外貨準備とは、通貨当局(日本では日本銀行財務省)が保有する外貨である。

 

外貨準備は、為替が大きく変動した際に通貨当局が為替介入できるようにするために用いられる。さらに、上記のような通貨危機が発生し、外貨建ての債務の返済が困難になった際には、保有している外貨準備を用いて返済にまわすことができる。

 

外貨準備はどこに保存されるか

各通貨の外貨準備は、基本的には、それぞれの国の中央銀行に置かれることが多い。例えばロシアの中央銀行保有する円資産は日銀に預けている、というイメージである。

 

2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けての各国のロシアに対する経済制裁の一環として、ロシア中銀が各国の中央銀行に預けていた外貨準備の凍結が行われた。これにより、ロシアは外貨準備を引き出すことができなくなり、外貨建ての国債の支払いが困難となった。

 

 

(出典):

ロシアの外貨準備とは 7年で1.6倍に膨張: 日本経済新聞

外貨準備の必要性 | 公益財団法人 国際通貨研究所

通貨危機/アジア通貨危機 : 日本銀行 Bank of Japan