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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

金融機関の外貨調達手段について

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本ページでは、金融機関の外貨調達手段についてまとめたい。
 

外貨調達の必要性

日本の銀行、特に大手行は、国内だけでビジネスを完結させているわけではなく、海外に貸出を行ったり、海外の有価証券に投資することなどを通じても収益を得ている。その際、ドルをはじめとした外貨の調達が必要になる。
 

 

外貨調達手段

以下が主な外貨調達手段となる。

 

預金

外貨建てでの預金は主要な外貨調達手段である。 日本円で預金されたものを元手に国内企業に貸出を行うことと全く同じ原理である。預金は、比較的安定的( 市場動向に左右されない)調達手段である。預金以外の調達方法には以下に示すようなものが代表的だが、これらはマーケットから調達することから「市場性調達」と呼ばれる。

 

社債

外貨建ての社債を発行することで、外貨で資金を調達可能となる。返済期間の長い社債の方がより安定的な調達手段ということができる。

 

レポ取引

レポ取引とは、国債などの証券と引き換えに資金を借り入れ、金利をつけて返済する、というものである。短期的に資金調達を行う手段として主に金融機関の間で用いられる。

 

資金の借り手をA、資金の貸し手をBとすると、取引開始時に、A が持っている債券をBに貸し出し、その対価としてBから資金を得る。取引終了時には金利(厳密には借入金に対する金利と債券の貸借料の受け取りの差分)を加えて借りたお金を返済し、 逆に債券を返してもらう。これがレポ取引の一連の流れとなる。

 

CD、CP

CP(コマーシャルペーパー)とは、会社が投資家から短期的な資金調達を行うために発行する短期社債のことで、企業の信用力をもとに無担保で発行するものである。

CD(Certificate of Deposit、譲渡性預金)とは、第三者に譲渡可能で自由に金利を設定できる大口の定期預金のことで、銀行など預金を受け入れる金融機関のみ発行することができる。預金をする企業にとっては比較的高金利であるというメリットがあり、金融機関にとっては資金調達手段の一つとなり得る。

 

円投(為替スワップ)

円を原資に外貨調達を行う手法である。為替スワップは一言でいえば、「現時点において直物為替レートで円と外貨を交換し、現時点において決定した先物為替レートで、将来時点で外貨と円を交換し直す取引」と言うことができる。別の言い方をすれば、「直物取引を行い、先物取引で反対売買を行う取引」ということもできるだろう。

 

ここで、直物為替レートとは、現時点で行う為替取引のレートを表し、先物為替レートは、将来時点で行う為替取引のレートを、現時点で取り決めたもの、である。

 

(参考):

(日銀レビュー)最近の大手行の外貨資金繰り運営 : 日本銀行 Bank of Japan