本ページでは、先物為替レートの決定方法についてまとめたい。先物為替レートとは、現時点において、将来の為替レートを決定するものである。先物為替レートの決定に重要なのは、2つの通貨間の金利差である。
ある2つの通貨の1年後の為替レートを考えるにあたり、1年間資金を運用する際の以下2通りの方法について見ていくことからスタートする。
(以下では例として、日本円:年率1%、米ドル:年率3%で、現在1ドル=100円であるとし、日本円を100万円持っているとする。)
①日本円のみで運用
・100万円×1.01=101万円
②米ドル建てにしてから1年間米ドルで運用し、最後に円建てに戻す
・100万円→1万ドル
・1万ドル×1.03=1万300ドル
・1万300ドル→??円(1年後の為替レートによって決定)
ここで、②の最終的な資産額は1年後の為替レートによって決まるわけだが、この金額がもし①と同じ101万円でないとすると、そこに裁定機会が生じることになる。例えば②の運用方法によって103万円になるとすると、投資家はみな②の運用方法をとることになる。そうすると通貨の需給バランスが変化し、為替レートも変化する。結局、②の運用方法でも資産額が101万円になるように為替レートは収束していく。
すると、為替レートは結局、
1万300ドル=101万円
∴1ドル≒98円
となる。
ここで、現在の為替レート(直物為替レート)と1年後の為替レート(先物為替レート)の差を、直先スプレッドという。ここでは、100-98=2が直先スプレッドである。まさに、日米の金利差2%がスプレッドとなっているということになる。
以上の通り、先物為替レートは、金利による運用益の観点から、裁定機会という考え方を用いることにより、導出することができる。