最近、「サステイナブルファイナンス」が注目される中、「グリーンウォッシング」という言葉を耳にする機会が増えた。ネットで言葉の意味を調べると、「環境に優しい活動やESGを考慮した取組みをしているように見えるが、実際には見せかけの取組みでごまかしに過ぎない活動のこと」というような定義が出てくる。
主に、企業活動において「グリーンウォッシング」の指摘がされることがある。企業の開示資料等にあたかも環境に配慮した活動について記載しておきながら、実際は大したことはなにもしていない、という事例があるのだという。
何をもって「ESG」「SDGs」と言えるのか
そもそも、何をもってある取組みを「ESG」「SDGs」に配慮した取組みだと評価できるのかは非常に難しい。統一した定義や基準があるわけでもないので、言わば「言ったもん勝ち」の状態となっている。
企業のESG度合いを数字で表す「ESGスコア」なるものが注目を集めているが、スコアを算出する評価機関・格付け会社等は乱立しており、それぞれの基準でスコアを算出しているため、「あるESGスコアでは評価が高い企業も、別のスコアでは評価が低い」といった状況が起きる可能性が十分にある。そうなると、「真にESGに配慮している企業」とはいったいどれなのか、コンセンサスを形成することは難しい。
「グリーンウォッシング」はファンドにもあてはまる
「グリーンウォッシング」という言葉は、企業に対して使われることが多いように思われるが、顧客から預かった資産を複数の企業の株式等に投資することで運用している投資信託(ファンド)にも同じことが当てはまると考えられる。つまり、「ESGファンド」と銘打ちながら、実際はどのような基準でESGに配慮した銘柄を選定しているのか、曖昧であるファンドも存在するのではないか。そもそも、企業のESG評価も曖昧ななか、それらに投資をするファンドの運用基準も、曖昧にならざるを得ないと思われる。
まずは企業のESG評価で統一的な世界的な基準が作られることが先決であると考えられるが、ESGファンドの評価についても、「グリーンウォッシング」の観点から非常に重要であると思われる。