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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

「ホームカントリーバイアス」とは何か

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 本ページでは、ホームカントリーバイアスとは何かについてまとめたい。

 

ホームカントリーバイアスとは、投資家が、自国の株や債券などに対して資産配分の比重を多くする傾向があることを言う。

 

基本的なポートフォリオ理論では、相関関係の低い複数の資産を組み合わせて投資することによって、リスクを低減しつつ高いリターンをあげる可能性があることを示している。いわゆる「分散投資」である。

 

分散投資の観点から言えば、自国の資産にのみ投資することは合理的な行動とはいえない。投資可能な世界中の資産を、幅広く分散させて投資をした方が効率的であるといえる。

 

しかし、例えば日本において、個人投資家はもちろんのこと、機関投資家も自国資産の配分を高くしている。これにはどういった理由があるのだろうか。

 

①情報収集コスト

国内資産について調べるよりも、外国資産に関する情報収集の方が相対的に多くのコストがかかる。典型的には言語の壁や、時差の問題、日本との情報公開の形式の違いなどにより、国内資産よりも情報収集が難しいことは間違いない。

 

外国資産についてしっかりとリサーチを行うには、それなりの人員を配置する必要があり、こういった面からもコストは高くなる。

 

②為替リスク

外国の資産に投資する場合には、為替リスクがつきまとう。資産そのものの価値は減っていなくても、為替相場が日本にとって不利な形で動けば、円建てに戻した時にマイナスのリターンとなってしまう可能性がある。その意味で、外国資産への投資そのものに国内資産よりも大きなリスクが伴うといえる。もっとも、追加のコストを支払うことで「為替ヘッジ」を行うことは可能である。

 

③外国資産への恐怖心

日本についていえば、そもそも株式投資への恐怖心が根強いと言われる。そうした中で、外国資産は博打以外の何物でもないと考える人も多いだろう。機関投資家においても、保守的な運用を志向する投資家であればあるほど、「外国資産への敬遠」は強いと考えられる。

 

(参考)ニッセイ基礎研究所(2010)『(年金運用):ホームアセット・バイアスが生じる要因(1)