投資銀行業務(IB)は、企業のM&Aや、株式や社債発行を通じた資金調達のサポート・アドバイスを行う業務であり、昨今の就活性から大人気の花形部門である。
しかし、「投資”銀行”業務」と名前がついていながら実際は証券会社が行っていたり(野村證券やゴールドマンサックス証券など)、融資や有価証券の売買といった銀行・証券会社の伝統的な業務とは性質が異なっていたりと、「人気があって華やかそうなのは知ってるけどいまいち掴みどころがない」と感じる人は一定数いるのではないだろうか。
そこで、本ページでは、この投資銀行業務が法的にどのように整理されるのかについてまとめたい。
そもそも投資銀行業務とは
投資銀行業務とは、一言でいえば財務の専門家として、企業の資金調達やM&A等の戦略のサポートを行うことを指す。企業の財務状況や経営戦略を踏まえて、どのような資金調達方法が一番適切なのか、あるいは企業買収(M&A)を行う際に、買収しようとしている企業はいったいどれくらいの価値があるのかを算出し(バリュエーション)、買収に向けた最適な方法を提案するといったことがメインの業務となる。
「銀行」は投資銀行業務をしない
紛らわしいが、「銀行」そのものは投資銀行業務ができず、行なっているのは証券会社である。よく「外銀」という言い方をされるゴールドマンやJPモルガンは、実は日本では証券業者に分類される。銀行グループの中では、系列証券会社が投資銀行業務を行っている(例えばみずほFGであればみずほ銀行ではなく、みずほ証券)。
銀行の業務範囲は法律で厳密に決められている。詳しくは以下のページを参照されたい。
金商法上の投資銀行業務
証券会社の業務は、金商法(金融商品取引法)に定められている。金商法で、投資銀行業務はどのように位置づけられているのだろうか。
証券業を営むには、金商法で定められている「第一種金融商品取引業」の登録を受ける必要がある。この第一種金融商品取引業社が行うことのできる業務範囲は金商法で規定されており、大まかには以下の通りとなる。
〇有価証券関連業(金商法28条)
など
〇付随業務(金商法35条)
など
証券会社(第一種金融商品取引業者)のメインの業務は、「有価証券関連業」である。自己勘定あるいは他人勘定での株式の売買や、企業の株式発行の際の引き受けなどが、伝統的な証券会社の業務となる。
一方、こうした本来的な業務以外にも、それに付随した業務(付随業務)として一種業者に認められている業務がある。いわゆる投資銀行業務は、この「付随業務」に分類される。