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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

「指数に投資する」ということ

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「この市場は上がる!」と考えた時、個別株を選別して投資するのではなく、マーケット全体に投資する、という選択肢があり得る。市場に流通する商品すべてに投資をすれば、マーケット全体に投資したことになるわけだが、それはなかなか困難である。

 

一つの方法は、「株式指数」に投資することである。例えば日経平均TOPIXを、「日本のマーケット全体」とみなして、これらを投資対象にする。

 

具体的に投資家がとり得る行動としては、1つは自前で指数に組み込まれている銘柄を全部買う、という方法である。しかし、例えばTOPIXであれば数千の株が組み込まれているので、全部買うのは至難の業である。

 

そこで、資産運用会社が運用するインデックスファンドに投資するということが考えられる。ファンドでは、ファンドマネージャーが、指数の動きに連動するように運用を行う。あるいは、ETFを購入することによっても、ETFが連動するベンチマークに含まれる全ての銘柄への投資が可能となる。

 

市場全体に投資する簡単な方法として、「先物指数」がある。先物指数での投資の場合、指数に組み込まれている銘柄の現物をいちいち買う必要がない。

 

それはなぜか。これは、先物の「差金決済」という仕組みのためである。通常、モノや株など現物の売買の際には、まず現物を「買って」、それから「売る」ことで、利益(あるいは損失)を確定できる。しかし、先物取引の場合、現物の受渡しを行わずに、売買により生じた価格差に相当する金額の授受のみでの取引が可能である。これを「差金決済」という。

 

例えば、Aさんが10日後X株を100円で購入する約束をBさんとしていたとする。10日後、株価が120円になっていたので、Aさんはその株をすぐさまBさんに売却したとする。ここで、Aさんは20円の利益を確定できた。ここで、現物であるX株のAさん、Bさん間の引き渡しは行われず、差額である20円をBさんがAさんに支払うだけで、取引を終了させることができる。

 

X株についての取引なのに、X株の現物それ自体は取引には登場しない、こういった取引が可能なのである。

 

この特徴により、先物取引においては、「売り」から取引を始めることができる。通常何かを「売る」には当然モノを保有してないといけないが、先物の場合はまずモノを買って保有する必要がなく、最後に差金決済を行えば良いからである。売りから始めたければ、上記と逆の動きをすれば良いというわけだ。

 

この差金決済の仕組みにより、「株価指数」の売買が可能である。株価指数を構成する数百・数千種類もの現物株の受け渡しをいちいち行うのは非常に困難であるため、上述の「差金決済」を行うことで、現物の引き渡しをせずに取引を成立させることができる。結果として、この「株価指数」の売買が盛んに行われている。