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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

銀行における金利リスクについて

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本ページでは、銀行において「金利」がどのようなリスクを孕むのかについてまとめたい。

 

まず、銀行の業務は、貸出や預金を中心とした取引に関する銀行勘定と、短期的な売買益を確保するために行う有価証券などの取引に関するトレーディング勘定に大別される。それぞれについて、どのような金利リスクがあるかについて概観する。

 

トレーディング勘定

トレーディング勘定における金利リスクは、比較的分かりやすい。金利収入の変化や、金利変化による資産価格の変化により、キャピタルゲインの大きさが変わってくるため、それらが収益や資産の状況に影響を与えうる。

 

銀行勘定

金利水準が変われば、銀行勘定の資産、負債の価格は変動するし、収益も変わってくる。「銀行勘定の金利リスク」とは、こうした変動により生じるリスクのことを言う。

 

短期的な取引がメインとなるトレーディング勘定とは異なり、銀行勘定は、基本的に資産の長期保有等を前提とした業務である。このため、規制上では、金利リスクよりも貸倒れのリスク(信用リスク)が重視されてきた。

 

しかし、銀行勘定の金利リスクを無視して良いかというと、決してそんなことはない。

 

金利が上昇すると、長期保有の資産、負債の現在価値が低下する。現在価値は、将来のキャッシュフローの和を金利水準で割引いて計算される。分母である金利が上昇すれば、当然より多く割り引かれてしまうので、現在価値は低下する。

 

また、キャッシュフローの発生時点が先になればなるほど、より割引率も大きくなる。例えば金利が年率10%だとすると、3年後のキャッシュフローXの現在価値は、Xに1.1の3乗を割ったもの、つまりX/(1.1)^3となる。5年後、10年後…と先になればなるほど、金利がどんどん掛け合わされていく。

 

一般に、銀行は比較的短期的なスパンで資金調達をし、より長期で貸出を行う。そのため、金利の上昇は、資産に対してよりダイレクトに作用し、資産を減少させることとなる。