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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

内部TLACとは何か

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本ページでは、内部TLACとは何かについてまとめたい。そもそもTLACとは何かについては以下の2つの記事を参考にされたい。

hongoh.hatenablog.com

hongoh.hatenablog.com

内部TLACとは

G-SIBに指定されている金融機関の多くはグローバルにビジネスを行い、複数の国に拠点(海外子会社)を持つ。こうしたG-SIBに求められているTLACであるが、それぞれの国で一定程度のプレゼンスを持つ海外子会社(重要な子会社グループ)については、G-SIBの持株会社TLACで確保した損失吸収力を分配する必要があり、これを「内部TLAC」という。

 

これは、G-SIBの拠点としている各国においても損失吸収力を分配することを保証することで、各国当局がG-SIBの資産を自国に囲い込むことを防ぐ狙いがある(自国で活動するG-SIBの海外拠点が破綻してしまうことで、自国の金融システムが機能不全に陥ってしまってはたまったものではない!)。

 

内部TLAC分配のイメージ

内部TLACの分配イメージは以下の図に示した。

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具体的には、子会社に対する出資や貸付を行うことで、グループとして確保した損失吸収力であるTLACを海外子会社にも分配する。内部TLACの所要水準は、仮に海外子会社が破綻処理の対象であった場合に必要となるTLACの所要水準の75%~90%の間で定められる。

内部TLACの適用対象

「重要な子会社グループ」が内部TLACの適用対象であるが、具体的には、リスク・アセット、業務収益、レバレッジ比率におけるエクスポージャーのいずれかがグループ連結比5%を超える場合が基本的には対象となる。

 

(参考):

みずほ総合研究所(2015)『国際金融規制と銀行経営 ビジネスモデルの大転換』

吉井一洋、金本悠希、小林章子、藤野大輝(2019)『詳説 バーゼル規制の実務 バーゼルⅢ最終化で変わる金融規制』