本ページでは、弁護士を利用したマネーロンダリングの手口についてまとめたい。2021年8月に国際組織「金融活動作業部会」(FATF)が8月に公表した日本のマネーロンダリング対策に対する審査では、弁護士等の金融機関以外の対策が不十分との指摘がなされた。
マネロンの基本的な考え方
マネーロンダリングとは日本語に訳せば「資金洗浄」である。麻薬取引などの非合法の手段で手に入れた「汚れたお金」を、合法的な(ように見える)「綺麗なお金」に変えることを意味する。
例えば麻薬取引などで大金を手にしたとき、それが麻薬取引によって手にしたお金だと気付かれないようにする必要がある。これこそがマネーロンダリングの本質であり、「綺麗なお金」に変えるということの意味である。
ここで、弁護士とのやり取りがマネーロンダリングに利用されることがある。
資金の出所を分かりづらくする
マネロンで重要なことは、その資金がどこから来たのかを分かりづらくすることである。そのための一つの手法として、金券や金融商品、あるいは車などの現物といった換金性の高い商品を汚れたお金で一旦購入し、すぐに売却するなどを繰り返す、というものがある。
弁護士とのやり取りを利用して資金の出所を分かりづらくする手口も存在する。まず、顧客として弁護士に架空の案件の依頼をし、「汚れたお金」を諸々の費用として弁護士の「預かり金口座」に入金し、預かってもらう。その後、その案件をキャンセルし、預かり金口座に入っているお金を引き出す。こうすることによって、弁護士の預かり金口座を媒介したお金のやりとりが資金の出所を分かりづらくすることができる。
弁護士に求められる対応
マネーロンダリングを防止するための規定が定められた犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づき、日弁連(日本弁護士連合会)の規定によって、弁護士等による依頼者の本人特定事項の確認、および記録保存等が定められている。
これらの確認を依頼者が拒めば、身分を偽って取引を行っている必要があり、マネロンの可能性が強く疑われることになる。
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