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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

LGD(デフォルト時損失率)とは何か

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本ページでは、デフォルト時損失率 (LGD: Loss Given Default)についてまとめたい。LGDは、信用リスク推定のために使用する指標である。

 

信用リスクとLGD

まず、銀行による貸出について考えてみる。銀行の場合は、企業や個人を信用した結果、お金を貸すのである。貸したお金をきちんと返済してくれる人・企業であると「信用」したからこそ、融資を実行できる。よって、「銀行の与信行動」とは貸出に他ならない。

 

そして、相手を「信用」した結果、相手が債務不履行(デフォルト)となり貸し出したお金が全額戻ってこない可能性がある。これこそが「信用リスク」であり、信用が裏切られたということである。

 

そして、デフォルトした時、貸したお金(もっと一般化すれば信用リスクのエクスポージャー)のうち、どれだけの割合が戻ってこないか、がLGD(デフォルト時損失率)に他ならない。

 

そのため、LGD = 1 − 回収率 

となる。

 

デフォルト時のエクスポージャー(EAD: Exposure at Default)にLGDをかけることで、デフォルト時損失額を求めることができる。

 

そして、融資先のデフォルトが起こる確率(PD: Probability of Default)をデフォルト時損失額に掛け合わせることで、損失額の期待値を求めることができる。

 

まとめると、

デフォルト時損失額の期待値 = PD × EAD × LGD

 

となる。

 

LGDの推定方法

信用リスク量の推定にあたり、PDを推定する必要があるが、PDは一般に、債務者格付の格付区分ごとに推計する。

 

同時に、LGDも推定する必要がある。LGDは、保全の有無、担保の種類、担保カバー率、 債務者特性等により推計する。担保をしっかり取っていれば、デフォルトしてもLGDを低く抑えることができるだろう。

 

 

(出典):

日本銀行金融機構局 金融高度化センター(2016)「信用リスク管理態勢の整備」