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LIBORとは?どんな時に使われる?

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本ページでは、LIBORとは何か、さらに、どんな時に使用されるのか、その目的と用途についてまとめたい。

 

LIBORとは

LIBOR(London InterBank Offered Rate、ロンドン銀行間取引金利)とは、ロンドンのインターバンク市場(銀行間で行われる取引の市場)において各銀行が短期資金を調達する際の金利を平均して算出された金利指標である。

 

LIBORは、世界中で行われる(主に短期的な)金融取引における金利を決定する際の指標となった。その背景には、戦後、ロンドンが国際的なドル取引の中心となり、英国の銀行のみならず世界中の銀行が取引に参加していたという歴史的な事情や、インターバンク市場で行われる、銀行間の無担保の資金融通が、主要な短期的資金調達手段であったということもある。

 

LIBORの算出にあたっては、ロンドンのインターバンク市場に参加する主要行(リファレンス・バンクまたはパネル行という)が、マーケットの状況を踏まえ、無担保で資金調達をする際に適切と考えられるレートを、LIBORの運営機関に提示する。

 

これを受け、LIBOR運営機関は、各行の提示レートを一定の算出方法に基づき指標化し、公表する。

 

LIBORの公表停止

金融取引における重要なインフラとなっていたLIBORだが、その算出においては各パネル行が正しく調達金利を自己申告することが前提となっていた。

 

しかし、2008年のリーマンショックによって銀行の信用力の低下が懸念された際、一部のLIBORのパネル行が、提示する調達金利が高いと市場参加者から信用力が低いと受け止められるのではないかと考え、実際の取引レートよりも低いレートを提示するという問題が生じた。さらに、銀行トレーダーが、自らが行うデリバティブ取引を有利にするために、提示するレートを意図的に操作した事例も報告された。

 

こうした問題を受け、「LIBORの公表停止」が議論されていたが、2021年3月5日、LIBOR運営機関である ICE Benchmark Administrationが、2021年12月末をもって、一部のドル建てのものを除きLIBORを原則公表停止することを発表した。

 

LIBORはどんな時に使われるのか

以上の通り、LIBORは世界中の金融取引で用いられると述べたが、具体的にどんな用途で、どのように使われるのだろうか。よく「LIBOR参照取引」と言ったりするが、「参照する」とはどういうことなのか。

 

以下、LIBORを参照している商品別取引額を示す。

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LIBORを利用する契約金額(2014年)

この表を見てわかる通り、主にLIBORデリバティブやローンに用いられる。デリバティブの中でも、とりわけ金利スワップ取引で使用されるため、以下ではスワップ取引とローンについて説明していく。

 

金利スワップ取引

典型的な金利スワップ取引は、「変動金利と固定金利を交換すること」を意味する。

 

例えば、それぞれ別の債務を抱えたA社とB社がいたとする。A社は固定金利で、B社は変動金利で借入していた。

 

A社は将来の金利低下を予想し、変動金利での返済を希望していた。一方B社は、将来の金利上昇を懸念し、固定金利での返済を望んでいた。

 

そこで、A社がB社の変動金利を支払い、B社がA社の固定金利を支払えば、問題は解決する。このように、金利を交換することが、スワップ取引の本質である。

 

ではここで、変動金利はどういうルールで変動するか、という問題が生じるが、この基準にLIBORが採用されることが多く、LIBORの変動に応じて変動金利を上下させようと取り決められる。「LIBORを参照する」とは、変動金利の基準にする(ベンチマークにする)ということである。

 

○ローン

変動金利が採用されている住宅ローンや、一般に変動金利を用いている、銀行が企業に貸し付けているバンクローンでは、LIBORがその基準となっている。

 

 

以上の通り、基本的には、「変動金利ベンチマーク」としてLIBORが用いられてきた、と理解して良いだろう。

 

 

参考:金融庁LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応について」