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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

「ルックスルー」とは何か

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本ページでは、ファンドにおける「ルックスルー」とは何かについてまとめたい。

 

ファンドは、投資家から資金を募り、さまざまな資産に投資する金融商品である。例えば日経225に含まれる銘柄に投資するファンドなどがイメージしやすいだろう。

 

「ルックスルー」とは、ファンドに出資している投資家が、こうしたファンドが投資している一つ一つの銘柄について、投資額(エクスポージャー)等のデータを把握することである。言い換えれば「ファンドの構成資産の把握」ということになる。

 

ファンドに出資している銀行などの金融機関において、「ルックスルー」が行われている。なぜルックスルーが必要なのか。主要な目的は「金融機関のリスク管理」にある。

 

金融機関が業務を行うにあたって保有するリスクには「信用リスク」「マーケットリスク」「オペレーショナルリスク」などがある。貸出を行うなら「信用リスク」が発生するし、株式に投資するなら「マーケットリスク」が発生する。金融機関のリスク管理のためには、金融機関が保有する各資産がそれぞれどの程度の規模であり、それぞれどのようなリスクを抱えているか、評価する必要がある。

 

ここで、資産の中に「ファンド」が含まれている場合がある。しかし、株、債券、貸出と並べて「ファンド」として一括りにしてリスク管理を行うのは危険である。ファンドが実際に何の資産に投資しているのかを可視化しなければ、そのファンドがどういったリスクを取っているのかを把握できない。

 

例えば保有しているファンドが、ある特定の会社の社債に多額の投資しているとき、その会社に多くの信用リスクエクスポージャーを取っていることになる。

 

金融システム安定のため、グローバルに活動する金融機関にリスクアセットに対して一定の自己資本の賦課を求めるバーゼル規制では、ファンドのルックスルーを行った上で各種リスクアセットの算定を求めている。