本ページでは、改正貸金業法の概要についてまとめたい。
貸金業法改正の背景
改正貸金業法は、2006年に成立した。当時の日本においては、「多重債務問題」が社会問題化していた。
2003年、全国の個人の自己破産申立件数は24万件を超え、これは1990年の1万1273件と比較すると20 倍程度の増加である。
多重債務問題の背景は、不景気下、低収入や収入の減少により、生活費等を補うために消費者金融等に手を出したケースが多いことが知られている。そして、今借りているお金を返せず、他からの借金で返済することを余儀なくされると、多重債務に陥ってしまう。
改正貸金業法の概要
多重債務債務問題への対応のために成立した改正貸金業法は、以下の3つを主要な項目と位置付けている。
①上限金利の引き下げ
(1) 利息制限法の上限金利
:貸付額に応じ15%~20%
:改正前は29.2%
の2つがあった。
従来、貸金業者はこの出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の金利水準であっても、一定の要件を満たせば認められていた。これがいわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれるものである。
金利負担を軽減するという考え方から、改正により、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃された。これによって、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)となった。
②総量規制の導入
貸付の総量に対する規制である。貸金業者からの借入残高が個人の申込者の年収の3分の1を超える場合、新規の借入れをすることができなくなる。法人名義での借入れは対象外である。
また、住宅ローンをはじめとした、一般に低金利で返済期間が長い一部の貸付けについては、総量規制は適用されない。
さらに、借入れの際、源泉徴収票や給与明細などの「年収を証明する書類」が必要となる。
③貸金業の適正化
最後に、貸金業者への規制も厳しくしている。具体的には、行為規制の強化や、法律遵守の指導・助言を行う国家資格である貸金業務取扱主任者を営業店に置くことを義務付けている。
(参考)
日本貸金業協会(2019)「貸金業界の現状と事業者における資金調達等の実情について
(日本貸金業協会の概要・小規模事業者の資金ニーズ)」
岩重佳治(2006)「多重債務問題の現状と課題」、日仏社会学会年報