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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

オフショア取引とはー外・外取引ー

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「オフショア取引」または「オフショア市場」という言葉をよく耳にする。オフショアとは「海外」を意味するが、単純に海外の市場のことを「オフショア市場」というわけでもなさそうだ。

 

はっきりとした定義があるわけではないが、「主に海外の当事者どうしの取引を行う場」がオフショア市場と呼ばれる。

 

例えば、A国の投資家がB国にファンドを設定して、そのファンドからC国の資産を買う、といったことがある。B国はファンド組成の場を提供しただけであり、直接のやり取りはA、Cの間で行われている

 

このB国のような存在を、オフショア市場と呼んだりする。あるいはこうした取引をオフショア取引、または「外・外取引」と言ったりもする。外国の当事者どうしが自国で取引する、という意味である。

 

具体的には、香港ルクセンブルクケイマン諸島などがB国に該当する存在として挙げられる。その国・地域自体の資産を取引するわけではなく、その国・地域を通じて外国の投資家が外国の資産を売買するのである。

 

なぜそんな場所が存在するのか。それは、これらの国・地域において税金が安かったり、手続きが簡便であったりするためである。これらの地域を言わば踏み台にして、世界中で取引をすることで、税金も安上がりで済むし、取引も簡単にできる。

 

例えば、ケイマン籍のファンドが多数世の中には存在するが、これらはケイマン諸島の株や資産に投資するといったことはなく、海外の株や資産に投資するファンドである。さらに、ケイマン人(?)が運営するのではなく、日本を含めた世界中の資産運用会社が運用している。

 

日本も、そうしたオフショア取引ができるように環境を整備していくべきかどうかは、議論がある。アジアにはすでにシンガポールや香港などの金融都市があり、存在感を発揮しているためだ。現在、日本にくる海外の金融事業者はの目的は、ほとんど日本の投資家を相手にするか、日本の資産に投資するためである。