本ページは、オプション取引の基本的な考え方についての2回目である。
一回目では、オプションとはそもそも何なのか、といった点からまとめている。基本的な用語の定義なども載せているので、そちらも合わせて参考にされたい。
今回は、プレミアム(オプション価格)はどのように決まるか、その考え方についてまとめたい。厳密には、非常に高度な数学を用いなければプレミアムの理論価格は導出できないので、そうした数学的な点については専門書を参考にされたい。
プレミアムの基本概念-2つの価値―
プレミアム(オプション価格)は、オプションという「権利」に対する対価として支払われる。では、その権利にはどういった価値があるのだろうか。
例えば、現物価格1000円で、権利行使価格900円のコールオプションを考える。今権利を行使できるとしたら、900円で買って1000円で売れるので、100円儲かる。この100円は、オプションが提供する一つの「価値」と言える。
この現物価格と権利行使価格との差は、オプションの「本質的価値」と呼ばれる。現時点で権利行使した場合に得られる価値、ということになる。
しかし、満期がまだ先の場合、これから相場が大きく上がる可能性がある。コールオプションの買い手にとっては、大儲けできるチャンスと言える。このように、オプションには「時間が経つにつれての相場の変動で儲けが大きくなる可能性」という価値がある。これを「時間的価値」という。
買い手にとっては、この本質的価値と時間的価値を得るための対価として、プレミアムを支払う。従って、
プレミアム=本質的価値+時間的価値
となる。
ちなみに、コールオプションの売り手にとっては、価格が上がるほど損が大きくなるので、将来の相場の変動は大きな不確実要素・リスクである。時間的価値を、本質的価値に上乗せされるリスクプレミアムとして、解釈することも可能である。
以下では、それぞれの価値の変動要因について掘り下げていきたい。
本質的価値
現物価格と権利行使価格の差で求められるので、当然両者の乖離が大きい方が価値は高まる。
コールオプションの場合、「現物価格−権利行使価格」が本質的価値となる。この値が0以下になるときは、権利行使をしなければ良いので、0が最小値となる。
プットオプションの場合は、「権利行使価格−現物価格」が本質的価値となる。同様に、この値が0以下になるときは、権利行使をしなければ良いので、0が最小値となる。
時間的価値
オプションの時間的価値は、将来の現物価格に対する不確実性を反映したものである。満期までの期間が長いほど不確実性は高まるため、時間的価値も大きくなる。
現物価格の変動の大きさ(ボラティリティ)も、時間的価値を左右する要因である。ボラティリティが大きいほど、将来の不確実性が高まるため、時間的価値も高くなる。
さらに、金利も時間価値を左右する。将来の権利行使価格を割引現在価値に直す際に金利を用いるためである。金利が高ければ、それだけ大きく割り引かれる。ただし、上の二つの要因に比べて時間型に与える影響は軽微であるので、ここでは詳細は割愛する。
まとめ
プレミアムが大きくなる条件は以下の通りである。
①本質的価値
・現物価格と権利行使価格の差の拡大
②時間的価値
・満期までの時間が長い
・ボラティリティが大きい
出典:東京商品取引所「オプション取引の基礎」