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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

パッシブ運用の拡大はバブルを引き起こすか?

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パッシブ運用の規模が世界的に拡大している。インデックス(日本で言えば日経平均TOPIX)に連動する形の投資信託ETFがアクティブ投信の規模を凌駕しつつある傾向が、世界的に見られる。

 

パッシブ運用の魅力は、アクティブ運用と比べて安いコストで投信を変えること、また、長期運用を前提とすれば、市場全体の成長に連動してリターンを出せるので、リスクを抑えつつリターンを得られる可能性が高いといった点である。

 

日本では、日銀が数十兆規模でETF(市場に連動する投資信託で、株と同じように取引所に上場しているもの)を購入しており、投資信託マーケットの中で大きな存在感を見せている。

 

この世界的な「パッシブ化」に対して、リーマンショックの発生を事前に予見し、的中させたことで知られるヘッジファンド投資家のマイケルバーリ氏が警鐘を鳴らしている。

 

 

そもそもアクティブ運用の意義とは

 ここで、そもそもアクティブ運用にはマーケットにとってどのような意義があるのかについて考えてみたい。

金融論の基礎的な教科書にも載っている考え方に、「効率的市場仮説」というものがある。これは、マーケット参加者は各企業に対して十分な分析や情報収集を踏まえて売買を行なっているため、そういった情報が全て価格に反映されているとする考え方である。

 

こうした効率的な市場は、アクティブ運用を行う多数の市場参加者によって成し得るものである。市場参加者の情報収集や分析を通じて、効率的な株価が掲載されることを価格発見機能という。 

 

さらに、多数のアクティブ運用を行うマーケット参加者の存在は、市場における効率的な資金配分にも寄与する。成長企業に資金がより供給され、停滞する企業からは資金が離れていく。こうして、真に必要とされるところに資金が供給される結果、経済成長が実現される。

 

パッシブ化は「バブル」なのか?

先程紹介したマイケルバーリ氏は、世界的なパッシブ化の傾向は「バブル」であると指摘する。

 

パッシブ運用の進行により、株式市場における価格発見機能がなくなり、その結果将来性に乏しい株式にも資金が自動的に供給され、言わば「過大評価」されていることになる。

 

これは、本来的な価値と乖離して価格が跳ね上がる80年代の日本における土地バブルや、2008年アメリカのサブプライムローンによる土地バブルと構造的には似ている。

 

ひとたび投資先企業が「過大評価」されていることが露見され、投資家が売りに回れば、一気に価格が下落しかねない。まさに「バブルの崩壊」である。

 

パッシブ運用が市場を席巻すると、市場の効率性を歪める可能性があることは間違い無いだろう。パッシブ投資が今後マーケットに与える影響を注視したい。