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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

実質実効為替レートの計算方法について

本ページでは、実質実効為替レートとは何かについてまとめたい。実質実効為替レートとは、一言でいえば、取引(貿易)を行っている複数の通貨と比べた、自国通貨の「実力」を示したものと言える。

 

実質実効為替レートの理解には、いくつか段階を踏む必要がある。そこで、実質為替レート→実効為替レート→実質実効為替レートの順に説明していく。

 

実質為替レート

A国とB国の為替レートについて、両国の物価水準を考慮したものを実質為替レートという。実質為替レートは、外国の財を1単位購入するのに自国材を何単位あきらめなければならないかを示している。

 

A国とB国の実質為替レートは以下の式で表される。

Sは名目為替レート(一般的に為替レートとして表示されるもの)、PaはA国の物価指数(A国通貨建て)、PbはB国の物価指数(B国通貨建て)である。

 

実効為替レート

実際には、2国間のみでなく、様々な国と貿易を行なっている。ドルに対しては価値が上がってもユーロに対しては下がる場合があるかもしれない。このように、取引を行う複数の通貨について、取引量でウェイト付けして各通貨とのレートを加重平均したものを実効為替レートという。実効為替レートは、取引(貿易)を行っている複数の通貨と比べた、自国通貨の「実力」を示したものと言える。

 

実効為替レートは以下の通り表される。

ここで、i=1,…N種類の外国通貨と取引を行なっており、ωitはt時点における通貨iでの貿易量の全体(自国の総貿易量)に占める比率である。()内の分数は、ある通貨iとの名目為替レートについて、1期からt期のレートの変化率を示す。

 

また、Πは総乗記号という。

以下に数値例を示す。1期の実効為替レートを1とし、


とすると、t期の実効為替レートは、
  

となる。

実質実効為替レート

上記で示した実効為替レートは、名目レートをベースにしたものであった。これを冒頭に紹介した実質為替レートに置き換えれば、実質実効為替レートを求めることができる。物価水準を考慮したその国の通貨の実力を示したものといえる。

 

 

(参考):

高木信二(2011)「[第4版]入門国際金融」日本評論社