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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

回帰係数の仮説検定(有意性の検定)について平たく説明



本ページでは、有意性を判定するための回帰係数の仮説検定についてまとめたい。

 

回帰分析は、標本(サンプル)を抽出し、母集団分布の性質の一つである回帰パラメーター(変数間の関係)を推測するものであり、統計的推論の一つである。

 

回帰分析により推定した回帰係数が有意であるかについて、仮説検定により検証する。

 

仮説検定の考え方

「AがBである」ことを示したいとする。このとき、「いったん『AがBで"ない"』という仮説を立て、その仮説が正しい確率が十分に低い」ことを示すことで、「AがBである」ことを確かめる、というのが、仮説検定の基本的な流れとなる。

 

仮説検定の考え方については、以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

有意性の検定

回帰分析において知りたいのは、説明変数Xが被説明変数Yに影響を与えているのか、という点である。そこで、仮説検定の際には、その反対の仮説(帰無仮説)として「XとYには関係がない」という仮説を立てる。

 

つまり、XとYの母集団においてY=βX+αという関係を想定した時、β=0が帰無仮説となる。

 

今、XとYの標本を抽出し、回帰分析を行った結果、β'=0.3という値が得られた。もし帰無仮説が正しかった場合、β'=0.3という数字はどれだけ珍しい(確率的に低い)ことなのだろうか。もしその確率が十分に低い(例えば5%以下)であるとするならば、β=0という仮説設定に無理があると考えるのが妥当であり、よって帰無仮説は棄却され、Xと Yの間に何らかの関係があるとみなすことができる。

 

β'の有意性の検定にあたっては、t分布に従うt統計量を計算する必要がある。具体的には、β'から母集団における真の値βを引き、β'の標準誤差で割ることでt統計量が求められる。βは帰無仮説より0とする。母集団から繰り返し標本を抽出し、β'を計算すると、取り出したサンプルによって様々なβ'が求められる。このβ'の散らばり具合が標準誤差である。

 

このようにして計算したt値から確率(p値)をもとめ、これが有意水準(例えば5%)以下なら、帰無仮説を棄却することができる。

 

(参考):

回帰分析を理解しよう!-回帰分析の由来と概念、そして分析結果の評価について- |ニッセイ基礎研究所

秋山裕(2009)「Rによる計量経済学オーム社