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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

RRP(Recovery and Resolution Plan)とは何か

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本ページでは、RRP(Recovery and Resolution Plan)とは何かについてまとめたい。RRPは、日本語に訳せば「再生・破綻処理計画」となる。大規模な金融機関に関するいわゆる「大きすぎてつぶせない(TBTF・too-big-to- fail)」問題への対応策として期待される。

 

TBTFとは

まず、「大きすぎてつぶせない(TBTF・too-big-to -fail)」問題とは何か。

 

ある金融機関について、提供するサービスの規模が大きく、金融システム上重要な役割を担っていると考えられるとき、その金融機関はTBTFであるとみなされる。日本では、メガバンクを想像すればよいだろう。

 

なぜ大きすぎると“潰せない”のか。大規模で金融システムの中核をなす金融機関が破綻すると、この金融機関と取引のある多くの金融機関において連鎖的に資金繰りの悪化や信用不安が広がり、金融システム全体が機能不全となり、実態経済全体に悪影響を与える恐れがある。そうすると、金融当局は公的資金を投入してでもその金融機関の破綻を回避し、経済の深刻な冷え込みを防ごうとするだろう。これこそが、「大きすぎて潰せない」問題の本質である。その金融機関を潰れることで、経済全体が影響を受けるため、潰すことができないのである。すると銀行はどうせ政府が助けてくれるだろうと考え、過剰なリスクをとってしまうおそれがある。そうなると、多額を税金を投入しなければならない可能性が高くなってしまう。


RRPの概要

上述のTBTF問題に対し、2008年11月に開催されたG20 金融サミットにおいて、「システム上重要な金融機関(SIFIs・systemically im-portant financial institution)」を定義し、各国の金融規制当局に対してSIFIsの秩序だった整理が可能になるように、 破綻処理制度及び倒産法を検討することが求められた。

 

これを受け、金融機関の破綻時における手続き面等を含めた具体的 な破綻処理方法を事前に策定しておく破綻処理計画(Resolution Plan)の導入や、金融機関が厳しいストレス状況に入った際に 財務健全化や存続可能性を確保するための対策オプションを特定する再生計画(Recovery Plan)といった「再生・破綻処理計画(RRP・Recove ry and Resolution Plan)」の検討が求められている。

 

「事前に」破綻処理計画を策定するという点がポイントで、これにより「どうせ最後には国が公的資金注入によって助けてくれるだろう」と金融機関に思わせない、つまりモラルハザードの発生を防ぐ効果が期待されている。

 

(出典):
漆畑春彦(2013)『「再生・破綻処理計画(RRP)」の問題点と課題』証券経済研究第83号