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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

経済制裁の一つである「資産凍結」その根拠法令や具体的方法とは?

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本ページでは経済制裁の一つである資産凍結がどの法律に基づいて行われているのか、そしてその具体的な内容についてまとめたい。

 

2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻により各国がロシアに対して経済制裁を課す中、日本もロシアに対してロシア政府関係者やロシアの銀行の資産凍結などの制裁を行なっている。

 

 

資産凍結は「外為法」に基づき行われる

資産凍結は「外為法(外国為替及び外国貿易法法)」に基づき行われる。外為法とは、海外との為替取引や輸出入を管理する法律であり、海外への経済制裁措置のほか、安全保障上重要な日本企業への海外からの出資を規制している。

 

資産凍結の具体的な内容

財務省HPには以下のとおり経済制裁について説明がある。

外為法は、対外取引が自由に行われることを基本としていますが、「国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき」、「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」又は「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとして対応措置を講ずべき旨の閣議決定が行われたとき」、主務大臣(財務大臣及び経済産業大臣)は、所要の経済制裁措置を発動することができることとなっています。

(中略)

具体的には、資産凍結等の措置の対象となる個人・団体(2022年1月28日現在、517個人・団体)を指定し、当該個人・団体向け支払と、当該個人・団体との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とし、それらの取引を不許可処分にすることにより資産凍結等の措置を実施しています。

(出所)財務省HP

 

ポイントは、制裁対象の個人または団体への支払い資本取引を「許可制」にし、「不許可」にすることによって、資産凍結を可能にするというものである。制裁対象の個人または団体が日本に持つ資産を引き出そうにも、日本の金融機関が彼らと取引することが許可制となっている(そして政府から不許可にされる)ため、資産が「凍結された」ことになる。

 

そして、銀行は、顧客から外国為替取引の依頼を受けた時に、外為法第17条に基づき、その取引が経済制裁対象とのものではないことを確認することが義務づけられている。

 

現在の制裁対象のリストは、外務省告示によって指定されている。そして、その一覧は財務省HPに公開されている。

 

 

(出所):

経済制裁措置及び許可手続きの概要 : 財務省