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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

証券会社の自己資本規制比率(単体、川下、川上)

本ページでは、証券会社の自己資本規制比率についてまとめたい。

 

証券単体

証券会社の自己資本規制比率は、金商法の以下の条文に記載がある。(原文に下線部を追加)

自己資本規制比率

第四十六条の六 金融商品取引業者は、資本金、準備金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額から固定資産その他の内閣府令で定めるものの額の合計額を控除した額の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として内閣府令で定めるものの合計額に対する比率(以下「自己資本規制比率」という。)を算出し、毎月末及び内閣府令で定める場合に、内閣総理大臣に届け出なければならない。

2 金融商品取引業者は、自己資本規制比率が百二十パーセントを下回ることのないようにしなければならない。

 

下線部にある控除すべき額は、内閣府令の第百七十七条(控除すべき固定資産等)に規定がある。

 

さらに、下線部の有価証券の変動等に対応する額(要するに自己資本規制比率の分母)は、内閣府令の第百七十八条に規定されている。

(リスク相当額)

第百七十八条 法第四十六条の六第一項に規定する保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。

一 市場リスク相当額(保有する有価証券等(有価証券その他の資産及び取引をいう。)の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に相当する額として金融庁長官が定めるところにより算出した額をいう。以下同じ。)

二 取引先リスク相当額(取引の相手方の契約不履行その他の理由により発生し得る危険に相当する額として金融庁長官が定めるところにより算出した額をいう。以下同じ。)

三 基礎的リスク相当額(事務処理の誤りその他日常的な業務の遂行上発生し得る危険に相当する額として金融庁長官が定めるところにより算出した額をいう。以下同じ。)

 

そしてこれらのリスク相当額の具体的な算出方法は、告示(金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める件)に規定されている。

 

川下連結

一定以上の総資産を有する場合、連結自己資本規制、子会社への報告徴取・検査等の導入が行われる(いわゆる川下連結)。また、証券会社に対し、グループ全体の状況のモニタリングのため、自らが属するグループ全体の財務状況の報告が求められる。

 

川下連結の場合には、金融商品取引法57条の5第1項に基づき連結自己資本規制が導入される。その詳細は、告示(特別金融商品取引業者及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該特別金融商品取引業者及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件)に規定がある。

 

川上連結

さらに、上記の財務状況等の報告に基づき、グループ一体で金融業務を行っていると認められる場合には、グループ全体に係る連結自己資本規制、グループ会社(親会社、兄弟会社)への報告徴取・検査等の導入が求められる(川上連結)。

 

川上連結の場合には、金融商品取引法57条の17第1項に基づき連結自己資本規制が導入される。その詳細は、告示(最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件)に規定がある。

 

川上連結が適用されている場合、川下連結は基本的に適用除外となっている。

 

(参考):

「最終指定親会社の連結自己資本規制比率に関する告示(第1の柱及び第3の柱)の一部改正(案)」の公表について:金融庁

 

金融庁説明資料:

https://www.fsa.go.jp/common/diet/174/01/setsumei.pdf