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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

適合性の原則と善管注意義務の違いについて

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本ページでは、金商法における適合性の原則と善管注意義務についてまとめたい。どちらも一見すると、「顧客のことを考えて業務を行ってね」という、至極当たり前のことを言っているように感じられるが、両者にはどのような違いがあるのか。

 

適合性の原則

適合性の原則は販売会社に対しての規制である。金融機関が顧客に対して金融商品を販売するときに、顧客の知識、経験、財産の状況や目的に応じて勧誘行為や販売行為を行わなければならない、というものである。金融リテラシーのないお年寄りなどに手数料が高く複雑な仕組み債を売ったり、長期的な資産運用を目的としているのに短期売買を推奨すれば、それは適合性の原則に反しているのではないかと考えることができる。

 

第四十条

金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて投資者の保護に欠けることとなつており、又は欠けることとなるおそれがあること。

二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。

 

善管注意義務

善管注意義務は、顧客から資産を預かる業務(資産運用など)を行うにあたり、「善良な管理者の注意を持って各業務を行わなければならない」(=顧客の資産を管理するものとして十分に注意深く業務を行わなければならない)という規則である。顧客の利益を顧みず資産を運用するといったことは、善管注意義務に照らして避けるべきと考えられる。

第四十一条  
金融商品取引業者等は、顧客のため忠実に投資助言業務を行わなければならない。
金融商品取引業者等は、顧客に対し、善良な管理者の注意をもつて投資助言業務を行わなければならない。

第四十二条  
金融商品取引業者等は、権利者のため忠実に投資運用業を行わなければならない。
金融商品取引業者等は、権利者に対し、善良な管理者の注意をもつて投資運用業を行わなければならない。

第四十三条  
金融商品取引業者等は、顧客に対し、善良な管理者の注意をもつて有価証券等管理業務を行わなければならない。

 よって両者の明確な違いは、金融商品取引業者の中でも販売会社なのか、資産を管理する立場なのか(投資助言、投資運用、有価証券等管理)、ということであろう。

 

それぞれの説明については、以下のページ(外部リンク)に詳しい。

 

(参考)投信資料館ホームページ
・適合性の原則
https://www.toushin.com/faq/other-faq/tekigousei/
善管注意義務
https://www.toushin.com/faq/other-faq/zenkan/