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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ボルカー・ルールの概要と日本を含む外国金融機関の対応

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本ページではボルカー・ルールの概要についてまとめたい。

 

ボルカー・ルールとは

ボルカー・ルールとは、2010年に成立した米国の金融規制に関する法律「ドット・フランク法」の一部である。ドット・フランク法は、リーマンショックを踏まえ、金融システムの安定のために金融規制を大幅に強化したものとなっている。


ボルカー・ルールは一言でいえば、「銀行等」が①自己勘定取引②ファンド投資を行うことを禁止する規制である。

 

「銀行等」の具体的な対象は以下の通り。
預金保険の対象となる預金取扱金融機関、またはそれを支配する会社
米国に支店等がある外国銀行や親会社
・上記の子会社、関係会社


よって、米国金融機関に限らず、日本も含めた外国の金融機関、またその証券子会社・資産運用会社等も対象となり、かなり広範囲の金融機関をカバーしたものとなっている。


以下、それぞれの概要についてまとめる。

 

①自己勘定取引

上記の「銀行等」に該当する金融機関が、有価証券やデリバティブ商品を自己勘定で取引することを禁じている。具体的には、保有期間60日未満の短期間に利益を上げること等を目的に当事者として取引を行った場合などに、「自己勘定取引」と認められる。


ただし、流動性の確保のための取引ブローカーとしての取引等は、そもそも「自己勘定取引」とはならない。

 

また、「自己勘定取引」となるものの例外的に取引が認められる場合がある。例えば、米国債の売買マーケットメイク取引リスクヘッジ活動が該当する。さらに、外国銀行が専ら米国以外で行う場合も、禁止の対象とはならない。

 

②ファンド投資

上記の「銀行等」に該当する金融機関がヘッジファンドプライベートエクイティ等に投資することを禁止している。一方、こうしたファンドの組成・販売は認められており、さらに自己勘定取引と同様、外国銀行(またはその系列会社)が米国外で投資を行っており、投資対象ファンドが合衆国の居住者に対して募集・販売されていない場合も、禁止の対象外となっている。

 

日本の金融機関の対応

基本的に、日本を含む米国の金融機関は、米国外で行われている限りは自己勘定取引もファンド投資も認められる訳だが、これらの活動が専ら米国外で行われているということを証明できておく必要がある。

 

 

以上、ボルカー・ルールの概要をまとめたが、同ルールは非常に規則が複雑であり、上記以外にも様々な細かい規定がある。同ルールについては、以下のレポートに詳しい。

 

参考:
大和総研レポート(ボルカー・ルール(自己勘定取引の禁止編))
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/securities/20140307_008301.html

大和総研レポート(ボルカー・ルール(ファンド投資等の規制編))
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/securities/20140731_008811.html