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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

短期金利と長期金利の関係について―金利の期間構造とは―

本ページでは、短期金利長期金利の関係についてまとめたい。

 

現時点の1年物の債券の金利をr1、現時点の2年物の債券の金利をr2、1年後における1年物の債券の金利の予想値)をrf1とすると、以下の関係が成立すると考えられている。


もし、1年物の金利を2回連続して保有する場合(左辺)の運用結果が、2年物の債券を持つ場合(右辺)と等しくない場合、ここに裁定機会が生まれてしまうため、結果的に両辺は等しくならなければならない。逆に言うと、1年後の1年物の金利の予想値rf1は、両辺が等しくなるような水準に定まるということである。

 

同時に、債券の年限を増やした場合でも同様な関係が成り立つため、短期金利長期金利の関係を説明できたことになる。こうした短期金利長期金利の関係を金利の期間構造という。上記の式からわかる通り、異なる期間の金利を結びつけるのは将来金利の期待値である。この期待値が高まれば(将来金利が上昇することが予想されれば)、長期金利は上昇する。金融政策はこの期待金利に働きかけており、短期の実際の金利を下げることで期待金利も下げるように誘導することを通じて長期金利を下げている。

 

なぜ長期金利の方が高くなるのか

長期金利は一般的に短期金利よりも高くなる。その理由の1つは、長期の債券に流動性プレミアムがあるためと考えられる。長期の国債は、短期の(頻繁に売買されている)債券と比べて流動性が低い。よって、仮に満期になる前に長期債を売却しようとしても、売り手が見つからず低い価格でしか売れない可能性がある。この流動性リスクに対する対価として、長期金利に対してプレミアムが乗っているという仮説が流動性プレミアム仮説である。流動性プレミアムを考慮すると、上記の式は以下のように書き換えることができる。


ここで、ωは流動性プレミアムである。