本ページでは、債券における利率(クーポン)と利回りの違いについてまとめたい。
投資家から見た利回りも、クーポンと混同されることが多いが、区別して考える必要がある。
利回りは、投資金額に対してどれほど収益をあげたか、を意味する。
それに対して利率(クーポン)は、額面金額に対して定期的に受け取る利子の割合を意味する。
具体例として以下のような債券を考えてみたい。
額面:100万円
発行価格:100円あたり105円
残存期間:3年
クーポン:年率3%
ここで、額面金額とは、「債券が償還期限を迎えた時に受け取ることのできる金額」ということができる。上記の例のように利付債(償還まで一定の期間ごとにクーポンが支払われる債券)の場合、クーポンの金額は額面金額に一定の率(上記の例では3%)を乗じた額となる。
債券を投資することによって受け取れるのは、期中のクーポンと、償還時の額面金額である。
そして、この額面金額は、購入金額と混同されることが多いが、両者は必ずしも一致しない。債券の発行価格は、上記の例のように「額面金額100円当たり105円」といった形で提示される。この債券の額面金額が100万円であるとき、投資家は100万円×105=105万円を用意する必要がある。
105万円の購入金額と引き換えに、「償還時に100万円の額面金額と、期中に額面金額の一定割合のクーポンを受け取れる権利」を得ることになる。
前置きが長くなったが、この債券に投資したことによる投資家の支出と収入についてそれぞれ見ていく。
支出: 100万円×105/100=105万円
収入: (100万円×3%)×3 + 100万円=109万円
収入について、最初の項はクーポンによる収入を示す。残存期間が3年のため、3回クーポンを受け取る。次の項は、償還時に受け渡される額面金額を示している。
よって、利回り(投資額に対する収益の割合)は、以下の通りである。
109/105≒1.038 ∴ 3.8%
これは、3年間の最終的な利回りであり、通常この利回りを年率換算して表現することが一般的である。
以上の例からも分かる通り、クーポンはあくまで期中に受け取れる利子を意味しており、利回りは最終的に投資家が回収できるリターンである。
以下に示した日銀のページにもある通り、国債における「利回り」と、「金利」は同じ意味を持つ。
(参考):
根岸康夫(2006)「現代ポートフォリオ理論講義」