<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ヘッジ会計(繰延ヘッジ、時価ヘッジ)

 

本ページでは、ヘッジ会計(繰延ヘッジ、時価ヘッジ)についてまとめたい。

 

ヘッジ会計

ヘッジ対象に関する損益とヘッジ手段に関する損益を同じタイミング(会計期間)に認識する会計処理をヘッジ会計という。ヘッジ会計には繰延ヘッジと時価ヘッジがある。

 

繰延ヘッジ

ヘッジ手段の損益を、ヘッジ対象の損益の認識のタイミングまで繰り述べる会計処理を繰延ヘッジという。

 

繰延ヘッジでは、決算期末において、ヘッジ手段の損益を損益計算書ではなく貸借対照表の純資産の部に「繰延ヘッジ損益」として計上する。

 

ヘッジ対象の損益を確定させるタイミングでヘッジ手段の損益も確定させる。両者の勘定科目は同一なものになる。

 

時価ヘッジ

時価ヘッジは繰延ヘッジとは逆に、ヘッジ対象の損益のタイミングをヘッジ手段に合わせる会計処理である。時価ヘッジは「その他有価証券」のみに適用される。

 

各期の決算時において、ヘッジ対象について、時価評価によって計算された含み損益を当期の損益として計上する。

 

ヘッジ手段についても時価評価により含み損益が当期の損益として計上される。

欧州(EU)の決済システムの概観

 

本ページでは、欧州(EU)の主な資金決済システムについて概観したい。

 

大口決済

EUにおける通貨統一後、1999年に「TARGET」と呼ばれる大口決済システムの稼働が開始した。TARGETはECBが管理・運営を行う。EUの決済システムの特徴的な点はEU加盟国それぞれに中央銀行があり、それらを繋ぐ(インターリンキンぐ)システムが中央にあると言う点である。リアルタイムグロス決済(RTGS)システムを運営するEU各国の中央銀行をつなぐのがTARGETである。

 

TARGETは一定の成功を見たものの、各国のシステムを相互に繋ぐ形態に留まっており、各国のRTGSシステムが少しずつ異なることに起因して非効率性が生じていた。そこで、新たに2007年から稼働を開始した「TARGET2」では、単一共通プラットフォーム(SSP)によってすべての決済処理が行われる。

 

TARGET2には、「普通」「至急」「大至急」という優先順位があり、「至急」「大至急」の場合はRTGSによって決済が行われる。「普通」の場合は、流動性を節約するために、支払指図と受取指図の差分を計算したのち、その額について資金の移動を行う。

 

民間が運営する決済システムとしてEURO1がある。EURO1はのユーロ銀行協会(EBA)のEBAクリアリングによって運営されている。

 

 

小口決済

大口決済とは異なり、小口決済については、ユーロ導入後も各国に小口決済用のシステム(ACH)が個々に存在する状態であった。そこで、単一ユーロ決済圏(Single European Payment Area, SEPA)を構築するプロジェクトが2008年に開始した。振込・口座引落やカード決済におけるルールの共通化や手続面での標準化を通じて、ユーロ圏内の決済を(国を跨いだ取引であっても)簡単に行うことを目指したものである。

 

また、EUにはクロスボーダーの小口決済システムであるSTEP1があり、EURO1と同様EBAにより運営されている。

 

近年、リテールの小口決済において24時間365日の即時決済を可能にするシステムの構築が進んでいる。ECBは、2銀行間決済を即時グロスベースで行うTIPS(TARGET Instant Payment

Settlement)を2018年に稼働した。TIPSはTARGET2のシステム内に構築されている。

 

2017年には、EBAクリアリングが即時決済システム「RT1」を稼働させている。

 

(出典):

日本銀行(2017)「ユーロの利便性向上に向けた欧州の取組み― 欧州決済インフラの統合および高度化 ―」

TARGET2:株式会社日立総合計画研究所

https://www.cpagent.co.jp/column/1728/european-payment-system/

アメリカの決済システムの概観

 

本ページでは、アメリカの主な資金決済システムについて概観したい。

 

Fedwire

Fedwireは、アメリカの連邦準備制度(Federal Reserve System)の下で運営される決済システムであり、アメリカ国内の(大口)資金決済に用いられる。金融機関がFedに開設している銀行口座間の振替によって決済は完了する。FedwireはRTGS(即時グロス決済)を採用している。

 

CHIPS

CHIPS(Clearing House Interbank Payments System)は、The Clearing House Payments Company L.L.C.という民営団体により運営されている決済システムで、貿易取引、外為取引、クロスボーダーの証券取引などを中心とした大口のドル決済が行われている。国際的なドル決済のかなりの割合がCHIPSを通じて行われている。国内外の金融機関がCHIPSに加盟している。

 

ACH

 ACH(Automated Clearing House)とは、企業や消費者に提供される小口(リテール)決済システムである。アメリカには、Fedが運営するFedACHとThe Clearing House Payments Companyが運営するElectronic Payments Network (EPN) がある。

 

RTP

 RTP(Real Time Payments)とは、The Clearing House Payments Companyが運営する小口の決済システムで、2017年に稼働を開始した。24時間365日稼働し、ほぼリアルタイムで決済が可能となる。

 

FedNow

FedNowは、Fedが2023年に新たに稼働を開始した米国内向けの(小口)決済システムである。24時間365日、即時グロス(RTGS)を行う。

 

最後の2つ(RTP、FedNow)は近年登場したシステムで、主にリテール決済においてリアルタイムな決済を実現する新たな試みだということができる。

 

(出典):

草野昭一(2016)「ドル決済システムの解明」愛知県立大学国語学部紀要第48号(地域研究・国際学編)

 

機械学習におけるグリッドサーチとは何か

本ページでは、機械学習におけるグリッドサーチとは何かについてまとめたい。グリッドサーチとは、一言で言えば、機械学習におけるハイパーパラメータをチューニングする(調節する)ための手法である。

 

グリッドサーチは、モデルを評価するための手法である交差検証法(クリスバリデーション)などと組み合わせて行われる。交差検証法の代表的なものとしてK分割法がある。まず、交差検証法(K分割法)について概観してからグリッドサーチの説明に移る。

 

K分割法(K分割交差検証)

K分割法では、まずデータセットをK個に分割する。そして、モデル構築と検証をK回分繰り返す。

1回のモデル構築・検証を1セットとすると、各セットにおいて、K個の分割されたデータセットのうち1つは検証用(評価データ)、残り(K-1)はモデル構築用(教師データ)とする。各セットで検証用に使用するデータセットを変えるので、Kセット実施する必要がある。

 

各セットにおいて、構築したモデルの当てはまり具合を検証することになる。例えば、回帰分析においては、構築したモデルで評価データの回帰を行ったときに、モデルの予測値と評価データの実測値の差分の大きさが評価の基準となる。K回モデルの当てはまり具合の測定を繰り返し、その平均値を結果とする。

 

例えば3次式のモデルを使用するか20次式のモデルを使用するかで迷っていたとする。そこで、3次式、20次式それぞれについてK回ずつ上記のプロセスを行い、誤差の小さい方を選択すれば良い。

 

グリッドサーチ

機械学習におけるグリッドサーチは、ハイパーパラメータを最適化するための手法である。最適化したいハイパーパラメータと、それぞれが取り得る値の範囲を定義する。例えば、サポートベクターマシンのCパラメータなどが対象となる。次に、選択したハイパーパラメータのすべての組み合わせを含むグリッドを作成する。

 

そして、モデルの評価を行うために、データセットを訓練セットとテストセットに分割し、交差検証を行う。一般的には、K分割交差検証が用いられる。作成したグリッドの各点について、選択したハイパーパラメータの組み合わせを用いてモデルを訓練し、交差検証を用いて評価する。各組み合わせの性能について事前に定めた評価指標に基づいた記録し、最も高い性能を示したハイパーパラメータの組み合わせを選択する。

 

日銀ネットと全銀システム

 

本ページでは、日銀ネットと全銀システムがどのように関係しているかについてまとめたい。

 

日銀ネット

日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)は、日本銀行が運営している金融機関間の資金や国債の決済をオンライン処理により行うためのネットワークシステムである。日銀ネットには、資金決済システムである「日銀ネット当預系」と国債決済システムである「日銀ネット国債系」の2種類がある。

 

全銀システム

全銀システム(全国銀行データ通信システム)は、日本の金融機関相互間の内国為替取引をオンラインで処理するシステムであり、全国銀行資金決済ネットワークが運営している。全銀システムには、日本のほぼ全て預金取扱金融機関が参加している。

 

異なる銀行間での振込取引

「AさんがBさんに100万円の振込を行う」というシンプルな例を考える。A、Bの銀行口座が同一の銀行のものであれば、銀行間の資金移動であるため、上記の決済システムは関与しない。

 

一方、異なる銀行間での取引であった場合(例えばAさんの口座はX銀行、Bさんの口座はY銀行)、資金移動は以下のような流れとなる。

 

まず、上記の例の取引により、X銀行はY銀行に対して100万円の債務を負う。この債権・債務関係は、最終的には両金融機関の日銀当座預金間の資金移動によって解消される。言い換えれば、日銀当座預金の振替によって決済が完了する。このX、Y銀行間の当座預金の振替が、日銀ネットを通じて行われる。

 

この日銀ネットを通じた決済が完了するためには、日銀ネットに対して各金融機関の受払額の情報が通知される必要がある。この役割を担うのが全銀システムである。1億円未満の小口取引について、全銀システムにて金融機関ごとに受払差額が計算され、1日に一回日銀ネットに送信される。よってこれらは時点ネット決済(DTNS)によって処理される。

 

一方、1億円以上の大口取引の場合、支払指図毎に個別に支払に関する情報が全銀システムから日銀ネットに通知される。この種の取引については、日銀当座預金上で即時グロス決済(RTGS)によって処理される。

 

 

 

(出典):

日銀ネットとは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan

全銀システムとは|全国銀行資金決済ネットワーク

内国為替取引・資金清算の仕組み|全銀システムとは|全国銀行資金決済ネットワーク

 

RAG(Retrieval Augmented Generation)について

 

RAG(Retrieval Augmented Generation)について。

RAGは、LLM(Large Language Model,大規模言語モデル)の回答の質を高めるために用いられるフレームワークである。

 

LLMの問題点

LLMは、ユーザからの質問(プロンプト)に対して回答を提示するが、時に合理的に聞こえるものの間違った回答をでっちあげることがある。また、ある特定の事柄について、関連するデータを学習していない場合には、そもそも知らない、あるいは情報がアップデートされていない可能性がある。

 

RAGは、関連性の高いデータをLLMに提供することで、LLMをファクトと接続させ、より回答の質を高める効果をもたらすと期待されている。

 

RAGの仕組み

RAGが導入されたLLMにおいて、まずユーザからのインプット(ユーザクエリ)は用意されたデータの集合と引き合わされる。そして、ユーザクエリに関連した情報が検索され、関連度の高い情報はユーザクエリとともにLLMに渡される。LLMはこの関連度の高い情報をもとに、回答を作成することになる。

 

鍵となるのは、この「用意されたデータ」をいかに構築するかである。一つの方法は、APIからデータ(文書等のテキストデータなど)を取得するというものである。取得されたテキストデータは、埋め込みモデル(embedding model)という技術によって数値化(ベクトル化)された状態で保存されることもある。

 

そして、ユーザクエリも同様にベクトル化され、上記のベクトル化されたデータベースと照合された後、最も類似度の高いデータが返ってくる。

 

 

(出典):

aws.amazon.com

ベクトルの内積について

 

ベクトルの内積について。

 

ベクトルの内積は、以下のように定義される。

「0でない2つのベクトルaとbのなす角がθのとき、|a||b|cosθをaとbの内積といい、a・bで表す。」

 

|a|はベクトルaの大きさである。aがn次元の空間に存在するとき、aの大きさはn個の成分の2乗和の平方根で計算できる。

 

cosθはθ=0のとき1,θ=90のとき0をとる。そのため、同じベクトルどうしの内積はそのベクトルの大きさの2乗であり、直交する2つのベクトルの内積は0となる。