<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

国際金融規制

AT1債とTier2債の適格要件について

本ページでは、AT1債とTier2債に算入される資本の要件がどのようにバーゼルⅢにて定められているかについて整理する。とりわけ、ベイルインを実現するために元本削減や株式転換がどのような条件の下実施されるかに着目する。 AT1 BCBSの公表している国際合意…

金融システムの安定について

本ページでは、英語で「financial stability」と呼ばれる概念について考えてみたい。日本語では「金融安定化」と訳される場合もあるが、「金融システムの安定」と表現されることが多い。 Financial stabilityとは Financial stability とはどのような概念か…

EUの金融規制についてごく簡単に整理

本ページでは、EUの金融規制について概要をまとめたい。 EUの法律体系 EUの法律は、EUの基本条約である一次法、基本条約を根拠に制定される法令である二次法、EU司法裁判所の判例である三次法に分かれている。 二次法については、さらに以下のような分類があ…

米国SECの根拠法令と行政規則について

SEC(Securities Exchange Commission),は、投資家の保護、市場の公正・秩序・効率性の維持、資本形成の促進を使命としており、関連法令違反に対する処分や、 SEC に登録を行っている機関の検査・監督等を行う。 SECは、主に以下の法律に基づいて規制や検査…

固定相場制と外貨準備

固定相場制を維持するためには、自国通貨のマネーサプライの調節を通じて金利を一定にし、為替レートを一定に保つ必要がある。これを実現するには、中央銀行等が保有する外貨準備が必要になる。 例えば外国の金利が上昇したことにより、自国の貨幣需要が減少…

金融規制関係の国際機関が公表した各種原則について整理

本ページでは、金融規制関係の国際機関が公表した主な各種原則等について整理したい。(順次追加・編集予定) hongoh.hatenablog.com 規制・監督関係 バーゼル規制 www.bis.org 銀行監督 www.bis.org 破綻処理の枠組み(2014) www.fsb.org 証券規制(2017) www…

金融規制関係の国際機関による公表物へのアクセス方法について整理

本ぺージでは、金融規制関係の国際機関による公表物へのアクセス方法についてまとめたい。 FSBを中心に、金融システム安定化に係る国際的課題に対処するための各種基準・原則が策定される。実際の基準・原則は分野ごと(銀行、証券、保険など)に設立された…

アメリカ連邦法の調べ方と各種リンクを紹介

本ページでは、アメリカ連邦法の調べ方についてまとめたい。なお、以下の記述は国立国会図書館の運営するウェブページ「リサーチ・ナビ」の記述に基づいている(末尾のリンクを参照)。 まず、連邦議会で法律案が可決され、議会制定法が制定される(法律案で…

日本における金融機関の破綻処理について

日本における金融機関の破綻処理について。 金融機関の破綻で生じた損失を誰が負担するのか 破綻処理について考える上での前提として、金融機関が破綻に至る中で生じた損失をだれが負担するのか、という問題がある。金融機関の破綻に際して預金が全額保護さ…

自己資本比率規制(バーゼル規制)における調整項目について

本ページでは、バーゼル規制の自己資本比率における調整項目の基本的な考え方についてまとめたい。 自己資本比率規制は、リスクアセット(分母)に占める自己資本(分子)の割合を一定以上求める規制であるが、調整項目とは、分子の自己資本から一定の額を控…

ストレステストとは何か

金融の分野における「ストレステスト」は、様々な目的・手法・範囲を含んでおり、一概に画一的な説明が困難である。さらに、民間の金融機関が行うのか、中央銀行などの当局が行うのかによっても大きく内容は異なってくる。 しかし、あえて強引に一般化すれば…

最終指定親会社とは何か

本ページでは、最終指定親会社とは何かについて、金商法の条文を見ながら確認していきたい。 金商法上の規定 最終指定親会社についての規定は、金商法第五十七条の十二に定められている。 まず、「指定親会社」とは何か、から見ていこう。 第二款 指定親会社…

バーゼルⅢ 信用リスクの標準的手法におけるデューデリジェンスについて

本ページでは、バーゼルⅢにおける信用リスクの標準的手法における外部格付の有無に応じた対応と、標準的手法で求められるデューデリジェンスについてまとめたい。 バーゼル規制において、リスク資産に対して一定の自己資本を求めている(自己資本比率規制)。…

バーゼル規制における暗号資産(仮想通貨)の取り扱いについて

本ページでは、バーゼル規制における仮想通貨の取り扱いについてまとめたい。 バーゼル委員会は2021年6月、銀行の暗号資産へのエクスポージャーの規制上の取り扱いに関して市中協議を実施した。これは、暗号資産関連のマーケットが継続的な成長し、技術革新…

バーゼルⅢにおけるリスクアセット算出方法の全体像

本ページでは、バーゼルⅢにおけるリスクアセット算出方法の全体像についてまとめたい。具体的な算出方法の詳細は本ページでは立ち入らないので、金融庁の告示文書や各種参考文献等を参照されたい。 バーゼル規制においては金融機関の健全性確保のために、リ…

レバレッジ比率規制とは何か

本ページでは、レバレッジ比率規制とは何かについてまとめたい。 レバレッジ比率規制の概要 端的に、レバレッジ比率規制は以下の算式で求められる。 レバレッジ比率 = Tier 1 /エクスポージャー額≧ 3% ※G-SIBs(国際的な金融システムにおいて重要な金融機関…

バーゼル規制における「エクスポージャー」「所要自己資本」「リスクアセット」

バーゼル規制の自己資本比率規制においては、信用リスク、マーケットリスク、オペレーショナルリスクを計測し、そのリスク量に見合った自己資本を積むことが求められる。このリスク量算出にあたり、「エクスポージャー」、「リスクアセット」、「所要自己資…

大口信用供与等規制とは何か

本ページでは、大口信用供与等規制とは何かについてまとめたい。 規制の概要 大口信用供与等規制は、銀行をはじめとする金融機関が特定の主体に与信(貸出など)を集中させることを防止するための規制であり、銀行法によって規定されている。特定の主体(法人な…

RRP(Recovery and Resolution Plan)とは何か

本ページでは、RRP(Recovery and Resolution Plan)とは何かについてまとめたい。RRPは、日本語に訳せば「再生・破綻処理計画」となる。大規模な金融機関に関するいわゆる「大きすぎてつぶせない(TBTF・too-big-to- fail)」問題への対応策として期待される…

RCAP(規制整合性評価プログラム)とは何か

本ページでは、RCAP(規制整合性評価プログラム)とは何かについてまとめたい。RCAPとは、一言でいえば、バーゼル規制における内部モデルによるリスクアセット算定が各国でバラツキのないよう、各国間の規制の一貫性・整合性を目的とするものである。 バーゼル…

「ルックスルー」とは何か

本ページでは、ファンドにおける「ルックスルー」とは何かについてまとめたい。 ファンドは、投資家から資金を募り、さまざまな資産に投資する金融商品である。例えば日経225に含まれる銘柄に投資するファンドなどがイメージしやすいだろう。 「ルックスルー…

オペレーショナルレジリエンスとは何か

本ページでは、オペレーショナルレジリエンスとは何かについてまとめたい。バーゼル銀行監督委員会は、2021年3月、「オペレーショナル・レジリエンスのための諸原則」を公表した。これは、銀行に対してオペレーショナルレジリエンスの確保のために求める原…

バーゼルⅢの全体像について

本ページでは、バーゼルⅢの全体像についてまとめたい。 バーゼル規制の「3本の柱」 バーゼル規制では、銀行の健全性確保のための規制として、次の3本の柱を掲げている。 第1の柱:資本賦課 自己資本比率規制。バーゼル規制の最もポピュラーな規制といって…

内部TLACとは何か

本ページでは、内部TLACとは何かについてまとめたい。そもそもTLACとは何かについては以下の2つの記事を参考にされたい。 hongoh.hatenablog.com hongoh.hatenablog.com 内部TLACとは G-SIBに指定されている金融機関の多くはグローバルにビジネスを行い、複…

FRTBにおける資本賦課額算出の標準的方式について

本ページでは、FRTBにおけるマーケット・リスクに対する資本賦課額算出の標準的手法についてまとめたい。ここでは数式は使わず、概念をまとめているのみなので、厳密な定義や数式等の詳細は告示文書や、文末の参考文献等を参考にされたい。 FRTBとは 2016年1…

信用リスク削減手法とは何か

本ページでは、バーゼル規制における信用リスク削減手法とは何か、その概要についてまとめたい。詳細は金融庁の告示文書や、以下に示す参考文献等を参考にされたい。 一言でいえば、自己資本比率規制における信用リスクアセット額の算出に当たり、担保等があ…

バーゼルⅢにおける自己資本比率規制の概要

本ページでは、バーゼルⅢにおける自己資本比率規制の概要についてまとめたい。 自己資本比率規制の概要 自己資本比率規制では、国際的に業務を行っている銀行(国際統一基準行)に対して以下を満たすことを「所要最低水準」として求めている。 総自己資本比…

証拠金規制とは何か

本ページでは、証拠金規制とは何かについてまとめたい。一言でいえば、店頭デリバティブ取引において証拠金の授受を求めるものである。 以下、証拠金規制そのものについて議論する前に、まずこの規制が導入される背景についてから記述したい。 店頭デリバテ…

金融リスク管理における「三つの防衛線」とは何か

金融機関におけるリスク管理について、「三つの防衛線」という言葉がある。金融機関における内部統制の在り方を示したものであり、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)での文書でも明文化されているが、この「三つの防衛線」の考え方についてまとめたい。 金融機関…

バーゼル規制関係文書の参照先について

バーゼル規制は国際的に合意された内容をもとに、各国の法律にその内容が反映される仕組みになっている。本ページでは、バーゼル規制の国際合意文書と、日本における法令を参照できるリンク先についてまとめたい。 バーゼル合意文書 金融安定理事会(FSB)の…