<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

日本の法律-金商法

金商法に基づく企業会計の基準について

金商法において企業に対する各種開示規制が定められているが、その主要な開示項目に「経理の状況」がある。具体的には、財務諸表等や連結財務諸表等が該当する。そして、これらの財務諸表等について、以下の様に規定されている。 第百九十三条 この法律の規…

金商法のエンフォースメント

金商法のエンフォースメント(実効性の確保)について。ここでは、民事責任、刑事責任、行政責任、自主規制について取り上げる。本ページは日本証券経済研究所金融商品取引法研究会(2008)の文献に基づいている。 民事責任 民事責任規定を通じて、違法行為に…

金商法における暗号資産の取り扱いについて

本ページでは、金商法における暗号資産の取り扱いについてまとめたい。 金商法における暗号資産 2019年5月31日、暗号資産関連の取引に関する新規制を盛り込んだ資金決済法および金融商品取引法の改正法が成立した(2020年に施行)。 この改正により、金商法…

証券会社の自己資本規制比率(単体、川下、川上)

本ページでは、証券会社の自己資本規制比率についてまとめたい。 証券単体 証券会社の自己資本規制比率は、金商法の以下の条文に記載がある。(原文に下線部を追加) (自己資本規制比率) 第四十六条の六 金融商品取引業者は、資本金、準備金その他の内閣府令…

最終指定親会社とは何か

本ページでは、最終指定親会社とは何かについて、金商法の条文を見ながら確認していきたい。 金商法上の規定 最終指定親会社についての規定は、金商法第五十七条の十二に定められている。 まず、「指定親会社」とは何か、から見ていこう。 第二款 指定親会社…

損失補填とは?損失補填が禁止される理由とは?

本ページでは、損失補填とはなにか、 そして損失補填が金商法上なぜ禁止されるのかについて考えてみたい。 損失補填とは 損失補填とは、 証券会社等が顧客の取引によって生じた損失を補てんすることである。たとえば投資家が証券会社Aの口座を通じて株取引を…

金融商品取引法の目的について考える

本ページでは、金融商品取引法が何を目的とした法律なのかについて考えてみたい。 金商法第一条 金商法の目的については、条文の第一条で明示されている。 (目的) 第一条 この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に…

最良執行方針とは何か、またその現状について

本ページでは、金商法における最良執行方針に関する規定についてまとめたい。 最良執行方針とは 証券会社は、顧客からの有価証券の売買注文を受けて、市場で売買を実行する。有価証券の市場価格は刻一刻と変わり、いかに顧客にとって有利な条件で取引を実行…

ソーシャルレンディングにおける業登録について

ソーシャルレンディング業界における行政処分の事例が相次いでいる。2021年5月には融資先の実態を正しく把握していなかったとして、「SBIソーシャルレンディング」に対し金融庁が業務停止命令を出すこととなった。 金融庁は、ソーシャルレンディングに関し投…

投資銀行業務(IB)の法律上の位置づけとは?

投資銀行業務(IB)は、企業のM&Aや、株式や社債発行を通じた資金調達のサポート・アドバイスを行う業務であり、昨今の就活性から大人気の花形部門である。 しかし、「投資”銀行”業務」と名前がついていながら実際は証券会社が行っていたり(野村證券やゴー…

適合性の原則と善管注意義務の違いについて

本ページでは、金商法における適合性の原則と善管注意義務についてまとめたい。どちらも一見すると、「顧客のことを考えて業務を行ってね」という、至極当たり前のことを言っているように感じられるが、両者にはどのような違いがあるのか。 適合性の原則 適…

空売り規制の概要について

本日は、空売りに対する規制の全体像についてまとめたい。 空売りの概要については、以下のページを参照されたい。 空売りとは何か - 金融アトラス 空売りに関する規制は、金融商品取引法の施行令にて具体的に規定されている。 主な規制の内容は以下の通りで…

投資信託とフィデューシャリー・デューティー(金商法との対応)

本ページでは、投資信託を取り扱う業者(資産運用会社、販売会社)が顧客に対してどのような義務を負うのかについて、いわゆる「フィデューシャリー・デューティー」や、既存の法令(金商法等)との対応の観点から整理したい。 金融機関の「フィデューシャリ…

ファンドの法的な類型と金商法上の取扱いについて

本ページでは、いわゆる「ファンド」の法的な類型と、金商法上の取扱いについてまとめたい。ファンドは言わば投資を行うための「器」である。この「器」にどのような種類があるのか、がこのページの主眼である。 1.ファンドの類型 いわゆる「ファンド」と…

投資運用業の類型

本ページでは、投資運用業の類型についてまとめたい。 基本的に、資産運用業を行う業者は、金商法上の「投資運用業」に登録する必要がある。具体的には、以下の4つに整理される。それぞれの類型では主な用途が異なり、また、使用される「器」(ファンド)の…

適格機関投資家、特定投資家、適格投資家の違い

本ページでは、金商法に定める適格機関投資家、特定投資家、適格投資家の違いについてまとめたい。 基本的には、金融庁の以下のページからの抜粋で、必要に応じて表現を平易に書き直している。 参考:金融庁「投資運用業等登録手続きガイドブック(参考1)…

適格投資家向け投資運用業(プロ向け投資運用業)と適格機関投資家等特例業務(プロ向けファンド)の違い

本ページでは、金商法上の適格投資家向け投資運用業(プロ向け投資運用業)と適格機関投資家等特例業務(プロ向けファンド)の違いについてまとめたい。どちらも資産運用業者向けの特例措置のようなものだが、両者の違いが紛らわしい。 まず前提知識として、…

ヘッジファンドの金商法上の業登録について

本ページでは、ヘッジファンドが金商法上どのように整理されるのかについてまとめたい。 まず前提知識として、資産運用を行う業者は、「投資運用業」か「投資助言・代理業」のいずれかに分類される。簡単に言えば、前者においては実際に顧客の財産を預かり、…