<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

日本の法律

金商法に基づく企業会計の基準について

金商法において企業に対する各種開示規制が定められているが、その主要な開示項目に「経理の状況」がある。具体的には、財務諸表等や連結財務諸表等が該当する。そして、これらの財務諸表等について、以下の様に規定されている。 第百九十三条 この法律の規…

アームズ・レングス・ルールとは

本ページでは、アームズ・レングス・ルールとは何かについてまとめたい。アームズ・レングス・ルールとは、銀行法に規定されたルールであり、金融庁の監督指針には「銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等…

金商法のエンフォースメント

金商法のエンフォースメント(実効性の確保)について。ここでは、民事責任、刑事責任、行政責任、自主規制について取り上げる。本ページは日本証券経済研究所金融商品取引法研究会(2008)の文献に基づいている。 民事責任 民事責任規定を通じて、違法行為に…

資金決済法における暗号資産登録業者について

資金決済法において、暗号資産は以下のように定義されている(第2条5項)。 5 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く…

海外赴任した場合の税金の取り扱いについて

本ページでは、海外赴任・移住をした場合の税金の取り扱いについてまとめたい。以下、会社員のケースを前提とした記述となっている。 所得税 所得税は、その年の所得(1月〜12月)に対して支払う税金である。会社員の場合、毎月給与から所得税分を差し引いて国…

兼営法とは何か

本ページでは、兼営法とは何かについてまとめたい。 兼営法とは、一言でいえば、銀行をはじめとする金融機関が、銀行業務等の金融機関本来の業務のほかに、内閣総理大臣の許可を受ければ信託業務を行うことができる旨を定めたものである。 信託業とは まずは…

金商法における暗号資産の取り扱いについて

本ページでは、金商法における暗号資産の取り扱いについてまとめたい。 金商法における暗号資産 2019年5月31日、暗号資産関連の取引に関する新規制を盛り込んだ資金決済法および金融商品取引法の改正法が成立した(2020年に施行)。 この改正により、金商法…

証券会社の自己資本規制比率(単体、川下、川上)

本ページでは、証券会社の自己資本規制比率についてまとめたい。 証券単体 証券会社の自己資本規制比率は、金商法の以下の条文に記載がある。(原文に下線部を追加) (自己資本規制比率) 第四十六条の六 金融商品取引業者は、資本金、準備金その他の内閣府令…

法律の条・項・号について

本ページでは、法律の条・項・号の区別についてまとめたい。 早速、実際の条文で確認してみたい。以下は金商法の抜粋である。 第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。一 国債証券二 地方債証券三 特別の法律により法人の発行する…

最終指定親会社とは何か

本ページでは、最終指定親会社とは何かについて、金商法の条文を見ながら確認していきたい。 金商法上の規定 最終指定親会社についての規定は、金商法第五十七条の十二に定められている。 まず、「指定親会社」とは何か、から見ていこう。 第二款 指定親会社…

大口信用供与等規制とは何か

本ページでは、大口信用供与等規制とは何かについてまとめたい。 規制の概要 大口信用供与等規制は、銀行をはじめとする金融機関が特定の主体に与信(貸出など)を集中させることを防止するための規制であり、銀行法によって規定されている。特定の主体(法人な…

「疑わしい取引」とは?ーマネロンの防止ー

本ページでは、金融機関が金融庁に届出が必要とされる「疑わしい取引」とは何かについてまとめたい。届出は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法、犯収法)に規定されている。 マネーロンダリングの防止 「犯罪収益移転」、つまり…

金融機関における「利益相反」とは?

金融機関のコンプライアンスを考える際、「利益相反」は重要なキーワードの一つである。しかし、この「利益相反」が何を指すのか、法律上の明確な定義を見つけることは難しい。本ページでは、「利益相反」の基本的な考え方についてまとめたい。 利益相反の類…

銀行代理業の銀行法上の取り扱いについて

本ページでは、銀行代理業の銀行法上の取り扱いについて整理する 。 まず、銀行法二条十四項において、銀行代理業は以下の通りに定義されている。 この法律において「銀行代理業」とは、銀行のために次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。一 預金又は…

投信法における特定資産の定義について

本ページでは、投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)における「特定資産」の定義についてまとめたい。(本ページはほぼ投信法の引用。) 投資信託の投資対象 まず、投資信託の投資対象として、投信法の第二条において以下の通り定められている。 この…

銀行法における外国銀行業務の取り扱い

本ページでは、銀行法における外国銀行業務の取り扱いについて整理する。 銀行法において、外国の銀行が日本で銀行業を営む際には、以下の条文の通り免許の取得を求めている。 第四十七条 外国銀行が日本において銀行業を営もうとするときは、当該外国銀行は…

銀行が営むことのできる業務の範囲とは?

本ページでは、銀行が営むことのできる業務の範囲を、銀行法を引用する形で整理したい。(本ページはほぼ銀行法の引用。) まず、銀行業としての固有の業務は、預金・貸出・為替のみである 。銀行法十条一項に記載がある。 第十条 銀行は、次に掲げる業務を…

経済制裁の一つである「資産凍結」その根拠法令や具体的方法とは?

本ページでは経済制裁の一つである資産凍結がどの法律に基づいて行われているのか、そしてその具体的な内容についてまとめたい。 2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻により各国がロシアに対して経済制裁を課す中、日本もロシアに対してロシア政府関係者…

デリバティブの損益通算で租税負担は軽くなる?

近年、デリバティブ取引を「損益通算」の範囲に認めることについての議論が続いているが、これはいったい何を目的とした議論なのか、本ページではまとめてみたい。 損益通算とは そもそも損益通算とは何か。金融商品には株や債券、デリバティブなど様々な物…

古物商、質屋を利用したマネーロンダリングについて

本ページでは、古物商・質屋を利用したマネーロンダリングの手口についてまとめたい。2021年8月に国際組織「金融活動作業部会」(FATF)が8月に公表した日本のマネーロンダリング対策に対する審査では、古物商等の金融機関以外の対策が不十分との指摘が…

租税における水平的公平と垂直的公平について

租税の大原則の一つに「公平性」がある。さらにその中でも、「水平的公平性」「垂直的公平性」の2種類がある。本ページでは、この「租税の公平性」についてまとめたい。 水平的公平 水平的公平とは、「同じ租税負担力を有する者には同じ水準の税負担を課すべ…

損失補填とは?損失補填が禁止される理由とは?

本ページでは、損失補填とはなにか、 そして損失補填が金商法上なぜ禁止されるのかについて考えてみたい。 損失補填とは 損失補填とは、 証券会社等が顧客の取引によって生じた損失を補てんすることである。たとえば投資家が証券会社Aの口座を通じて株取引を…

金融商品取引法の目的について考える

本ページでは、金融商品取引法が何を目的とした法律なのかについて考えてみたい。 金商法第一条 金商法の目的については、条文の第一条で明示されている。 (目的) 第一条 この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に…

犯罪収益移転防止法とは何か

本ページでは、犯罪収益移転防止法(犯収法)の概要についてまとめたい。一言でいえば、犯罪行為の撲滅を資金面から支えるものとなっている。 マネーロンダリングの防止 「犯罪収益移転」、つまりマネーロンダリングの防止が犯収法の主要な目的である。 マネー…

金融所得課税を見直すべきか?ー分配と成長のバランスー

2021年10月、岸田政権が発足し、「分配なくして成長なし」と訴えた。そして、分配を重視した施策の一環として、金融所得課税の見直しを検討するとした。 2021年現在、金融所得に対しては基本的に約20%の税率が課せられている。この金融所得課税見直しの是非…

外為法改正に見る経済安全保障と経済成長のジレンマ

「経済安全保障」の重要性が近年強調されつつある。経済安全保障とは広範な概念であるが、民間企業の視点に立てば、技術や情報が外国に流出し、戦争行為等に利用されることを防ぐこと、と言うことができるだろう。 2019年、外為法(外国為替および外国貿易法)…

最良執行方針とは何か、またその現状について

本ページでは、金商法における最良執行方針に関する規定についてまとめたい。 最良執行方針とは 証券会社は、顧客からの有価証券の売買注文を受けて、市場で売買を実行する。有価証券の市場価格は刻一刻と変わり、いかに顧客にとって有利な条件で取引を実行…

二重課税の種類について

本ページでは、二重課税にはどのような種類があるのかについてまとめたい。 ①法人税と所得税 法人税は個人所得税の前払いとして機能するという考え方がある。個人の所得には給与所得以外にも、株式を保有していることによる配当や、株式を売却することにより…

法人税はなぜ課される?法人税の課税根拠について

本ページでは、法人税の課税根拠についてまとめたい。 応益説 まず法人税の課税根拠として挙げられるのは「応益説」である。これは、法人が政府から提供を受けた便益に対する対価として法人税を支払う必要がある、というものである。会社が経営を営むにあた…

ストラドル取引を用いた租税回避について

デリバティブを利用した投資手法であるストラドルが、租税回避に使われるという懸念があるという。本ページでは、ストラドルを用いた租税回避についてまとめたい。 ストラドルとは ストラドルとは、デリバティブ取引の「買い」と「売り」を両建てで取引する…