<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ヘッジ会計(繰延ヘッジ、時価ヘッジ)

本ページでは、ヘッジ会計(繰延ヘッジ、時価ヘッジ)についてまとめたい。 ヘッジ会計 ヘッジ対象に関する損益とヘッジ手段に関する損益を同じタイミング(会計期間)に認識する会計処理をヘッジ会計という。ヘッジ会計には繰延ヘッジと時価ヘッジがある。 繰延…

欧州(EU)の決済システムの概観

本ページでは、欧州(EU)の主な資金決済システムについて概観したい。 大口決済 EUにおける通貨統一後、1999年に「TARGET」と呼ばれる大口決済システムの稼働が開始した。TARGETはECBが管理・運営を行う。EUの決済システムの特徴的な点はEU加盟国それぞれに中…

アメリカの決済システムの概観

本ページでは、アメリカの主な資金決済システムについて概観したい。 Fedwire Fedwireは、アメリカの連邦準備制度(Federal Reserve System)の下で運営される決済システムであり、アメリカ国内の(大口)資金決済に用いられる。金融機関がFedに開設している銀行…

機械学習におけるグリッドサーチとは何か

本ページでは、機械学習におけるグリッドサーチとは何かについてまとめたい。グリッドサーチとは、一言で言えば、機械学習におけるハイパーパラメータをチューニングする(調節する)ための手法である。 グリッドサーチは、モデルを評価するための手法である…

日銀ネットと全銀システム

本ページでは、日銀ネットと全銀システムがどのように関係しているかについてまとめたい。 日銀ネット 日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)は、日本銀行が運営している金融機関間の資金や国債の決済をオンライン処理により行うためのネットワーク…

RAG(Retrieval Augmented Generation)について

RAG(Retrieval Augmented Generation)について。 RAGは、LLM(Large Language Model,大規模言語モデル)の回答の質を高めるために用いられるフレームワークである。 LLMの問題点 LLMは、ユーザからの質問(プロンプト)に対して回答を提示するが、時に合理的に聞…

ベクトルの内積について

ベクトルの内積について。 ベクトルの内積は、以下のように定義される。 「0でない2つのベクトルaとbのなす角がθのとき、|a||b|cosθをaとbの内積といい、a・bで表す。」 |a|はベクトルaの大きさである。aがn次元の空間に存在するとき、aの大きさはn個の成分…

サポートベクターマシン(SVM)とは何か

本ページでは、サポートベクターマシン(SVM)とは何かについてまとめたい。サポートベクターマシンとは、機械学習の機械学習の中でも教師あり学習に分類される手法である。データ群を2つのクラスに分割するような境界(線・超平面)を見つけるアルゴリズム…

CBDCについて

CBDC(Central Bank Digital Currency,中央銀行デジタル通貨)について。本ページではCBDCの類型についてまとめる。 ①リテール型vsホールセール型 個人や企業が利用する一般利用型(リテール型)と、主に大口取引における金融機関間の決済に用いられるホールセー…

K近傍法とは何か

本ページでは、K近傍法とは何かについてまとめたい。K近傍法(KNNとも呼ばれる)とは、機械学習のアルゴリズムの一つであり、「教師あり学習」に分類される。 総務省の定義によると、K近傍法とは「分類に使われる手法の一つで、与えられた学習データと入力デ…

RTGSとDTNSについて

本ページでは、RTGS(Real Time Gross Settlement、即時グロス決済)とDTNS(Deferred Net Settlement、時点ネット決済)についてまとめたい。 RTGS(Real Time Gross Settlement) RTGSは、取引が発生すると同時に、それぞれの取引を個別にリアルタイムで処…

ヘルシュタット・リスク、CLS銀行、PVPについて

本ページでは、ヘルシュタット・リスク、CLS銀行、PVPの概念についてまとめたい。 ヘルシュタット・リスク 鎌田(1990)の定義によると、ヘルシュタット・リスクとは、「外国為替取引において、2通貨の受渡時刻が異なるために、一方当事者のデフォルトにより、…

ダイナミックGMMについてメモ

ダイナミックGMMについて。 GMMの概要については以下を参照。 hongoh.hatenablog.com パネルデータにおいて、一般に個別効果が含まれる際には固定効果モデルや変量効果モデルを用いて推定を行うが、さらに被説明変数のラグ項が説明変数に含まれる場合、ダイ…

海外送金の仕組みについて(コルレス銀行)

本ページでは、銀行間の海外送金がどのような流れで行われるのかについて概観してみたい。 国内の銀行間の取引であれば、同じ中央銀行の当座預金間の振替によって決済は完了するが、海外送金の場合は中央銀行が2つ存在することになり、中央で決済を行える機…

支払手段の全体像を概観する

本ページでは、主な支払手段にはどのようなものがあるかについて概観したい。 現金 紙幣または硬貨による支払い。 銀行振込 金融機関(銀行)の口座にある預金に資金を払込むこと。異なる銀行間の振込の場合、全銀システム、日銀ネットといった決済システムを…

サステナビリティ開示に関する保証制度の導入へ議論

金融庁がサステナブル開示に関する保証制度の導入へ議論を行う方針であることを発表した。 サステナビリティ情報の開示については、2023年3月期から有価証券報告書における同情報の開示がスタートしている。ただし、現時点で個別具体的な基準はない。 日本の…

企業価値算出(バリュエーション)の全体像

本ページでは、企業価値算出(バリュエーション)の全体像についてまとめたい。 何の価値を測るのか 企業に関する価値の測定には、大きく分けて次の3つがある。 ①企業価値:企業全体の価値 ②株主価値:株主に帰属する価値 ③事業価値:企業が行う事業の価値 …

株主資本変動計算書とは何か

本ページでは、株主資本変動計算書とは何かについてまとめたい。株主資本変動計算書とは、一言でいえば、貸借対照表の「純資産」の部分について、その変動要因を詳述した表であるといえる。 株主資本変動計算書と貸借対照表、損益計算書の関係性について、中…

過学習とその対処法について

本ページでは、機械学習における過学習の問題とその対処法についてまとめたい。 教師付き学習 機械学習には、大きく分けて「教師付き学習」「教師なし学習」がある。このうち、教師付き学習は、総務省の定義によれば、「特徴を表す情報と正解を表す情報がセ…

均一な与信ポートフォリオの損失分布について

本ページでは、均一なローンから構成される与信ポートフォリオの損失分布の推計について検討したい。 まず、与信ポートフォリオの信用リスクについて、1ファクターマートンモデルを用いた推計方法を以下のページで紹介している。本ページはこれに基づいてお…

マートンモデルを用いたデフォルト確率の推定について

本ページでは、マートンモデルを用いたデフォルト確率の推定についてまとめたい。 このモデルでは、デフォルトは企業の資産価値が債務額を下回った場合に発生するという前提に基づいている。デフォルト確率は、ブラック・ショールズ・マートンの公式を使って…

DeFiとマネーロンダリングについて

DeFi(Decentralized Finance)は、暗号通貨市場において、様々な金融サービスをプログラムにより自律的に提供する仕組みである。Defiの明確な定義は存在しないが、FSB (2022)は「DeFi is based on distributed ledger technology (DLT) (typically public a…

NFTに対するAML規制の検討状況について

Non-Fungible Token(NFT)とは、ブロックチェーン上で発行されるトークンであり、トークン自体に固有の値を持たせた、non-fungibleなトークンである。この技術により、従来コピーが容易かつ無料なデジタルコンテンツ(例えばデジタルアートなど)に特定性と…

構造型・誘導型の信用リスクモデルについて

本ページでは、信用リスクモデルにおける構造型と誘導型についてまとめたい。信用リスクモデルにおいては、与信先のデフォルト確率を求めることが主要な目的の一つとなるが、大きく分けて構造型と誘導型の二つのアプローチがある。 構造型モデルにおいては、…

AT1債とTier2債の適格要件について

本ページでは、AT1債とTier2債に算入される資本の要件がどのようにバーゼルⅢにて定められているかについて整理する。とりわけ、ベイルインを実現するために元本削減や株式転換がどのような条件の下実施されるかに着目する。 AT1 BCBSの公表している国際合意…

機械学習における教師なし学習とは何か

本ページでは、機械学習における教師なし学習とは何かについてまとめたい。 教師なし学習とは、教師付き学習と対になる概念である。教師あり学習は、総務省の定義によれば、「特徴を表す情報と正解を表す情報がセットになった状態のデータを用いてコンピュー…

変量効果モデルについて

本ページでは、変量効果モデルについてまとめたい。 まず、固定効果と変量効果の違いについて、以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com 変量効果モデルは、個別効果と説明変数に相関がない場合に用いるモデルとなる。推定においては、一般化最…

一般化モーメント法(GMM)について

一般化モーメント法(generalized method of moments、GMM)について。操作変数法によるパラメータ推定に際してGMMが用いられる。 モーメント法の基本的な考え方については以下を参照。 hongoh.hatenablog.com 次に、操作変数法の基本的な考え方については以…

ナイーブベイズ法とは何か

本ページでは、ナイーブベイズ法とは何かについてまとめたい。ナイーブベイズ法とは、一言で言えば、ベイズの定理を用いてデータを分類する機械学習の一手法である。 ベイズの定理 まず、ベイズの定理は以下のように表される。 P(A|B)はBが発生したという条…

負債の節税効果とは

本ページでは、負債の節税効果とは何かについてまとめたい。企業が最適な資本構成(負債による調達と株式による調達の比率)を決定するにあたって考慮されるのが負債の節税効果である。 企業価値の定義 まず、企業の資本構成について議論するにあたり、企業…