2021-01-01から1年間の記事一覧
多くの地銀が苦境に立たされている。都市部への一極集中や地方における人口減少などの社会構造的な問題による融資先の減少に加え、長らく続く低金利環境による利鞘の縮小で、融資による収益が少なくなってしまっている。 しかし、地銀は地域にとっての「イン…
本ページでは、地方創生において地方銀行にどのような役割を求められているのかについてまとめたい。 地方創生の意義 政府は、2014年にまち・ひと・しごと創生本部を設置することを閣議決定し、地方創生を大きな政策目標の1つとして掲げたが、そもそも…
本ページでは、古物商・質屋を利用したマネーロンダリングの手口についてまとめたい。2021年8月に国際組織「金融活動作業部会」(FATF)が8月に公表した日本のマネーロンダリング対策に対する審査では、古物商等の金融機関以外の対策が不十分との指摘が…
租税の大原則の一つに「公平性」がある。さらにその中でも、「水平的公平性」「垂直的公平性」の2種類がある。本ページでは、この「租税の公平性」についてまとめたい。 水平的公平 水平的公平とは、「同じ租税負担力を有する者には同じ水準の税負担を課すべ…
パッシブ運用の規模が世界的に拡大している。インデックス(日本で言えば日経平均やTOPIX)に連動する形の投資信託やETFがアクティブ投信の規模を凌駕しつつある傾向が、世界的に見られる。 パッシブ運用の魅力は、アクティブ運用と比べて安いコストで投信を変…
政府、東京都を中心に、日本で国際金融センターの確立を目指す動きが高まっている。世界中の金融機関が集積するニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどと並ぶ金融ハブを日本にも作るということだが、これによってどんなメリットがあるのかについて考えて…
本ページでは、デット・エクイティ・スワップ(DES)とは何かについてまとめたい。 一言で言えば、その名の通り、「株式と負債を交換する」ということであるが、企業がDESを行う目的や、その具体的な方法について考えてみたい。 DESの目的 負債は必ず返さな…
世界で経済不況や政情不安が起こると、円が多く買われ、 円高になる傾向がある。「有事の円買い」と呼ばれる現象であり、 驚くべきは日本で何か起こった際にも( たとえば東日本大震災など)、 円高になることがあるという点である。本ページでは、 なぜこう…
20世紀前半、ケインズは財・サービスに対する需要、つまり「有効需要」を喚起することこそが、一国の総生産量を増やしたり、失業対策を行う上で有効だと考えた。いわゆる「ケインズ派」と呼ばれる経済理論である。 ケインズ主義的政策は、1960年代までの欧…
本ページでは、なぜ「経済安全保障」 が近年注目を集めているのかについて考えてみたい。以下、政府の「経済安全保障法制に関する有識者会議」 における資料を基に記述している。 経済安全保障とは そもそも経済安全保障とは、国家の安全を守るうえで、 経済…
価格はどのようにして決定されるのか―あまりに身近なモノの「価格」という存在であるが、その決定メカニズムについては、様々な考え方がある。 現在の経済学の基礎は19世紀に形作られるが、このとき価格が何によって決まるかについて二つの見方があり、対立…
日本ではバブル崩壊から7年ほどのタイムラグの後、不良債権の表面化等により金融機関が破綻するなど、危機が表面化した。一方、日本とほぼ同時期に、北欧においても金融危機が生じた。もちろん、規模等が異なるため 正確に比べることは困難だか…
本ページでは、信用保証とは何かについてまとめたい。一言でいえば、中小企業が金融機関から融資を受ける際、返済が仮に難しくなったとしても、保証人が代わりに返済する仕組みである。信用保証協会法に基づき各都道府県に設置された公的な機関である「信用…
本ページでは、SPAC(特別目的買収会社) とは何かについてまとめたい。 SPACの概要 SPACとは、一言でいえば、企業の買収のためだけに設立され、 上場している会社である。そのため、SPAC自体は事業を行わず、いわば「空箱」 のようなものである。 上場して…
本ページでは、97年の日本の金融危機についてまとめたい。この時期、日本では多くの金融機関が破綻に追い込まれた。 三洋証券 証券業界の準大手であった三洋証券は、バブル期の積極的な経営(繰り返しの合併など)で成長を遂げた。しかしこれは、過剰な設備…
本ページでは、金融機関がどのような原因で破綻するのかについて考えたい。とりわけ、90年代の日本における金融危機について着目してみる。 ここでは、預金保険機構の『預金保険研究』(2005年)にある「金融機関破綻に関する定量分析」の分析結果を読み解…
本ページでは、損失補填とはなにか、 そして損失補填が金商法上なぜ禁止されるのかについて考えてみたい。 損失補填とは 損失補填とは、 証券会社等が顧客の取引によって生じた損失を補てんすることである。たとえば投資家が証券会社Aの口座を通じて株取引を…
マーケット情報などでしばしば、「先物主導で日経平均株価が値下がりした」といった表現を見かけることがある。この「先物主導」とはどういうことなのか、本ページでは考えてみたい。先物取引が現物の株価にどのようなメカニズムで影響を与えるのだろうか。 …
本ページでは、ブロックオファーとは何かについてまとめたい。ブロックオファーとは、一言でいえば、上場企業の大株主等が保有している株を売却する際に、証券会社が市場の外で株式を買い取り、市場の外で投資家に売却する取引である。 マーケットインパクト…
本ページでは、利益供与とは何かについてまとめたい。 利益供与とは 一言でいえば、会社が株主の権利行使に関して、特定の株主などに対して財産上の利益を与えることを意味する。つまり、会社が利益を供与するのと引き換えに、ある株主が会社の株主総会の進…
本ページでは、金融商品取引法が何を目的とした法律なのかについて考えてみたい。 金商法第一条 金商法の目的については、条文の第一条で明示されている。 (目的) 第一条 この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に…
本ページでは、犯罪収益移転防止法(犯収法)の概要についてまとめたい。一言でいえば、犯罪行為の撲滅を資金面から支えるものとなっている。 マネーロンダリングの防止 「犯罪収益移転」、つまりマネーロンダリングの防止が犯収法の主要な目的である。 マネー…
本ページでは、所得代替率とは何かについてまとめたい。所得代替率とは、一言でいえば、退職後に給付される公的年金の額が、現役時代の収入と比べて何割ほどになるかを示したものである。 所得代替率の計算方法 公的年金の支給額が分子、現役時代の収入が分…
本ページでは、年金給付における賦課方式と積立方式の基本的な違いについて簡単にまとめてみたい。 積立方式 積立方式は、現役世代の収入により積み立てたお金を、将来現役世代が高齢者になった時に給付される年金の原資にするというもの。簡単に言えば、「…
日本の年金は3階建て、と呼ばれる。ネットで調べれば、年金にはどのような種類があり、どのような構造になっているのかなどについて、たくさんのサイトで解説されている(本ページの末尾に参考ページのURLを載せている)。 ここでは、詳しい説明は省略し、日…
本ページでは、マネーロンダリングの基本的な手口についてまとめたい。近年、その手法は複雑化の一途を辿っているが、まずは基本的な手口について考えてみる。 マネロンの基本的考え方 マネーロンダリングとは日本語に訳せば「資金洗浄」である。麻薬取引な…
年金をはじめとする機関投資家が、お金を預けている受益者に対してどのような責任を負っているのだろうか。 日本における考え方 日本の機関投資家においては、「損をしないこと」が特に重要視される風潮にあるように思われる。高いリターンをあげるよりも、…
2021年10月、岸田政権が発足し、「分配なくして成長なし」と訴えた。そして、分配を重視した施策の一環として、金融所得課税の見直しを検討するとした。 2021年現在、金融所得に対しては基本的に約20%の税率が課せられている。この金融所得課税見直しの是非…
日本の三大メガバンクの一つに数えられるみずほ銀行において、2021年、ATMが使えなくなるなどのシステム障害が相次いでいる。 通常の産業では、市場原理により企業間で新陳代謝が起こるが、金融業界、特に銀行業においてはそれが難しい。まず、厳しい参入規…
「資金洗浄」を意味するマネーロンダリング。麻薬取引などの非合法の手段で手に入れた「汚れたお金」を、合法的な(ように見える)「綺麗なお金」に変えることをマネーロンダリング(略してマネロン)と言うが、具体的にはどのような出口でマネロンが行われてい…