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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

海外送金の仕組みについて(コルレス銀行)

 

本ページでは、銀行間の海外送金がどのような流れで行われるのかについて概観してみたい。

 

国内の銀行間の取引であれば、同じ中央銀行当座預金間の振替によって決済は完了するが、海外送金の場合は中央銀行が2つ存在することになり、中央で決済を行える機関が存在しない。ではどのように海外送金は実行されるのか。

 

例として、「日本にいるAさんから米国にいるBさんへ1万ドル送金を行う」というケースを考える。Aさんは日本に拠点を持つX銀行、Bさんは米国に拠点を持つY銀行に口座を持っているとする。つまり、X銀行からY銀行への送金となる。

 

X銀行は米国中央銀行の口座を持っていないので、米国中央銀行に口座を持つ別の銀行(例えばZ銀行)に決済の代行を依頼することができる。このような契約(コルレス契約)をXとZの間で結んでいる時、ZはXの「コルレス銀行」であるという。

 

X銀行はZ銀行の口座にドル預金を置き(+$10000)、これを決済手段とすることができる。Z銀行はX銀行からの依頼のもと、Y銀行にドルの送金を行う。Zの中央銀行当座預金からYの当座預金に振替が行われ(Z: −$10000、Y:+$10000)、決済は完了する。

 

もしX銀行がY銀行と直接コルレス契約を結んでいれば話はもっと単純で、X銀行が持つY銀行の口座から、Bさんの Y銀行口座への送金(口座振替)が行われることで決済が完了する(米国の中央銀行は介さない)。

 

Z銀行のような中継先となる銀行は場合によっては複数存在しうる。そうするとそれだけ海外送金に際してのコストが高くなる。

 

こうした国を跨いだ銀行間の送金指図といったメッセージングは、SWIFTと呼ばれるネットワークを通じて行われる。

 

(出典):

第7章 決済の実行 : 日本銀行 Bank of Japan