<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ダイナミックGMMについてメモ

 

ダイナミックGMMについて。

GMMの概要については以下を参照。

hongoh.hatenablog.com

パネルデータにおいて、一般に個別効果が含まれる際には固定効果モデルや変量効果モデルを用いて推定を行うが、さらに被説明変数のラグ項が説明変数に含まれる場合、ダイナミックGMMの使用が検討される。

以下のモデルを考える。

レベル式:

μは時間を通じて一定な個別効果、εは誤差項となる。この回帰式の1階の階差をとると、以下のようになる。

階差式:

1番目の式をレベル式、2番目の式を階差式と呼ぶことにする。Δy_it=y_it - y_i,t-1である。階差式では個別効果μが消去されている。このとき、Δy_itはμ_i+ε_itと相関を持たず、そしてy_i,t-2, y_i,t-3...はΔε_itと相関を持たない。このとき、εが2階以上の系列自己相関を持っていないことを仮定する。そのため、AR(2)検定を行なってチェックする(帰無仮説は系列自己相関なし)。

 

よって、階差式について、y_i,t-sを操作変数として、以下のモーメント条件が成立する。

E[y_i,t-s×Δε_it]=0

そして、レベル式について、Δy_itを操作変数として、以下のモーメント条件が成立する。

E[Δy_it×(μ_i+ε_it)]=0

 

Arellano and Bond(1991)は階差式に関するモーメント条件のみを用いたGMM推定量、Blundell and Bond(1998)はレベル式、階差式のモーメント条件両方を用いたGMM推定量を示した。後者のGMM推定量は、ダイナミックGMMの中でもシステムGMM推定量という。

 

(参考):

Arellano, M. and S. Bond (1991) “Some Tests of Specification for Panel Data: Monte Carlo
Evidence and an Application to Employment Equations,” Review of Economic Studies, Vol.
58, No. 2, pp. 277–297.

Blundell, R. and S. Bond (1998) “Initial Conditions and Moment Restrictions in Dynamic Panel Data Models,” Journal of Econometrics, Vol. 87, No. 1, pp. 115–143.

Roodman, D. (2006) “How to Do xtabond2: An Introduction to ”Difference” and ”System”
GMM in Stata.” Working Paper 103. Center for Global Development, Washington.