本ページでは、「レバレッジ」の考え方についてまとめたい。レバレッジについて解説している文章ではしばしば、「レバレッジとは『てこの原理』のようなもので…」という説明がなされるが、あまりピンと来ない人も多いのではないだろうか。
レバレッジは、一言で言えば「少ない自己資金でその何倍もの金額を取引するしくみ」と言うことができる。具体的には、例えば100万円持っていたとしたら、200万円を証券会社から借りてきて、300万円の株を買う、といったイメージである。
なぜそんなことをする必要があるのか。その根底にある考え方は、「元手が多い方が、変化の幅も大きくなる」というものだ。
具体例を用いて考えてみる。A株がある期間中に10%上昇したとする。100万円をA株に投資していた場合、10%株価が上昇すると110万円になるので、上昇幅は10万円だが、300万円投資していた場合は330万円となり、上昇幅は30万円である。
100万から10%上昇→110万 増加額:10万
300万から10%上昇→330万 増加額:30万
このように、同じ上昇率でも元手が多い方が上昇額は大きい。至極当然のことである。
よって、上記の例に基づいて考えると、100万円持っていたとしたら、200万円を証券会社から借りてきて、300万円をA株に投資し、330万円になったところで売却した後、借りていた200万円を証券会社に返せば、手元には元々持っていた自己資金の100万円と、利益の30万円が残る。A株自体は10%の上昇であるが、結果的に30%の利益を上げられたことになる。
(実際は証券会社にお金を返す際には利子が発生し、これが証券会社の信用取引サービスにおける収益源となっているが、ここでは簡略化のため割愛している)
一方で、損した時のダメージも大きい。300万円で投資したA株の株価が10%下落すると、270万円となる。借りた200万円は返さなければならないので、手元に残るのは70万円。元々持っていたのは100万円なので、30%の損を被ったことになる。
このように、証券会社から借入を行なって、より大きな元手で行う取引を信用取引という。また、取引の際に用いる自己資金(上の例では100万円)を、保証金という。保証金は、現金または上場株でも受け入れられる。
レバレッジをかけられる比率は決まっており、保証金の額に対して、3.3倍までの金額を取引することができる。実際は証券会社を通じて取引をするので、投資家は保証金を証券会社に差し出すという形となる。
以上のように、レバレッジによる取引は、自分の持っているお金に加えて借りたお金を加えることで元手を大きくし、利益を大きくしようとするものである。しかし同時に、損をした時の金額も大きくなってしまうので、まさにハイリスク・ハイリターンの取引と言える。