企業の費用曲線と、企業の生産行動についてまとめたい。
まず、大きく分けて費用には以下の4種類がある。
総費用C(Q)
可変費用VC(Q)
非埋没固定費用NSFC
埋没費用(サンクコスト)とは、絶対に支払う必要のある、回収不可能な費用のことである。固定費用の中にはサンクコストもあれば、売却等によって回収可能なサンクされていない費用(土地や建物など)もあるので、これらを区別している。可変費用は生産量に応じて変化し、固定費用は生産量に関わらず一定である。
四者の関係は、
C(Q)=VC(Q)+NSFC+SFC
となる。
次に、加えて以下の費用について定義する。
平均費用AC(Q)=C(Q)/Q
平均非埋没費用ANSC(Q)=(NSFC+VC(Q))/Q
数値例として、VC(Q)=Q^2、NSFC=5、SFC=5の場合を考えると、
AC(Q)=(Q^2+5+5)/Q=Q+10/Q
ANSC(Q)=(Q^2+5)/Q=Q+5/Q
MC(Q)=2Q
グラフ化すると、AC、ANSCは生産量の増加につれてまずは下がっていき、ある点を境に増加に転じる。最小となる点においてMCと交差する。
ここから、企業の生産行動について考える。
企業の利潤は
π=pQ-VC(Q)-NSFC-SFC
である。もし仮に企業が全く生産をしない(Q=0)、つまり操業を停止する場合、利潤はπ=-SFCである。
そして、pQ-VC(Q)-NSFC>0である間は、生産を続けた方が-SFCよりも赤字が小さくなる。このとき、p>(VC(Q)+NSFC)/Q=ANSCとなる。よって、平均非埋没費用よりも価格が高いならば、仮に赤字であっても操業を続けた方が良いということになる。
しかし、企業の目的はプラスの利潤を出すことである。π>0となるとき、
pQ-VC(Q)-NSFC-SFC>0つまりp>(VC(Q)+NSFC+SFC)/Q=ACとなる。よって、価格が平均(総)費用よりも高いならば、利潤を生みだすことができるということになる。
まとめると、
p<ANSC 操業停止
AC<p<ANSC 赤字だが操業するべき
p>AC 黒字
となる。