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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ラムゼイモデルについてメモ

ラムゼイモデルについて。

数式を全く記述していないので、正確な情報は参考書等の文献を参照。

 

ソローモデルでは貯蓄率が外生変数であり、家計の最適化行動を反映していなかった。ラムゼイモデルは、この欠点を克服し、家計の効用最大化問題と企業の利潤最大化問題をベースに記述したモデルとなっている。

 

当分の目標は、消費と資本ストックが定常状態(△C=0、△K=0)となるときのそれぞれの値を外生変数を用いて表すこととなる。

 

下準備

①家計の効用最大化問題

代表的家計は消費(1期から無限期)により効用を得る(効用関数は対数関数を仮定する)。

予算制約として、t期の貯蓄(資本ストックの増分)は資本所得(利子率×t期の資本ストック)、賃金所得、消費と資本減耗(減耗率×t期の資本ストック)を引いた差になる。

効用最大化問題を解くと異時点間の消費のオイラー方程式が導出される。対数型の効用関数を仮定すると、t期とt+1期の消費量の比を、利子率・主観的割引率・資本減耗率といった外生変数で表すことができる。

 

②企業の利潤最大化問題

代表的企業は資本、労働を生産要素として利潤最大化問題を解く。

 

③資本の遷移式

t期からt+1期への資本ストックの増分は、t期の生産量(当然これはt期の資本ストックによって決定される)から消費、資本減耗(減耗率×t期の資本ストックを引いたものになる(①)。

 

定常状態

企業の利潤最大化条件より、家計のオイラー方程式に出てくる利子率を取り除くことで、t期とt+1期の消費の比を資本ストックを用いて表すことができる(②)。ここで、消費が定常状態であるとき、t期とt+1期の消費は等しくなるため、消費量の比は1になる。このことから、資本ストックについて解くと、消費が定常状態にあるときの資本ストックを外生変数を用いて表すことができる。

 

次に、資本の遷移式(①式)より、資本が定常状態にあるとき(t期とt+1期の資本ストックが等しいとき)の消費量を、資本ストックを用いて表すことができる。

 

消費、資本ストックが定常状態にあるときの消費と資本ストックを表すことができた。横軸に資本ストック、縦軸に消費をとってグラフ化したものを位相図という(「ラムゼイモデル 位相図」と検索すると画像でたくさん出てくる)。

 

ここで、家計が自ら水準を選ぶことのできる消費量を「ジャンプ変数」、間接的に決定される資本ストックを「状態変数(または先決変数)」という。

 

初期値を与えた時の消費、資本ストックのパス

各期における消費量、資本ストックを求めることを考える。

t期より後は消費、資本ストックが定常状態になるとする。初期の資本ストックについては定数が与えられる。

 

①、②式が各期について存在するので、2×t本の式ができる。内生変数は消費量、資本ストックであり、どちらもt個だけ存在するので、変数と式の数が一致し、各期における消費量、資本ストックが解けることになる。

 

例えばこのモデルに政府部門を導入し、税率を上げたことによる時間を通じた消費や資本ストックのショックを観察することができる。

 

(参考)

二神孝一・堀敬一(2017)『マクロ経済学 第2版』有斐閣

蓮見亮(2020)『動学マクロ経済学へのいざない』日本評論社