生産要素間の代替の弾力性について。以下では、労働(L)と資本(K)の2つの生産要素を用いて生産活動を行う企業を考える。
技術的限界代替率
代替の弾力性の話に入る前に、技術的限界代替率について簡単におさらいしたい。技術的限界代替率とは、片方の生産要素を1単位増加させたときに、生産量を一定に保ったままもう片方の生産要素の投入量をどれだけ減らせられるかを意味する。
技術的限界代替率は、以下の式のように各生産要素の限界生産性の比で表されることが知られている。
導出の方法は、消費者の効用関数における限界代替率のケースと同様である。詳しくは以下を参照されたい。
そして、企業の利潤最大化条件より、限界代替率は、要素価格比(w/r)に等しくなる。
代替の弾力性
代替の弾力性は、要素価格(賃金、資本コスト)が変化した時に、各生産要素の投入量がどれほど変化するかを示す。
上記の通り利潤最大化条件により限界生産性は要素価格比に等しくなり、要素価格比ではなく限界生産性の比で表す場合もある。
コブ・ダグラス型生産関数では代替の弾力性が1、CES型生産関数
の代替弾力性はσであることが知られている。コブ・ダグラス型生産関数はCES型生産関数の特殊ケースである。
代替弾力性が1であるとき、例えば賃金が上昇して要素価格比(w/r)が1%上昇したとき、労働に対する資本の比率は1%上昇する(労働から資本への代替が起こるため)。