同時分布の考え方と多変量正規分布について
本ページでは、同時分布の考え方と、多変量正規分布についてまとめたい。
同時分布とは
まず、具体例として、ある会社における株価と収益の増減の関係について考える。株価の変化(X1)が-5%、0%、5%のいずれかであり、会社の収益(X2)は-10%、0%、10%のいずれかの値を取るとする。この2つの変数のそれぞれの組み合わせの発生確率は以下の通りとする(以下表)。
株-10% 株±0% 株+10% 計
収益-10% 15% 25% 5% 45%
収益 ±0% 10% 15% 10% 35%
収益+10% 5% 10% 5% 20%
計 30% 50% 20% 100%
このとき、2つの変数X1、X2が取りうる値は確率変数と解釈することができ、X1がx1、X2がx2という値を取るとすると、同時確率分布を
と表すことができる。例えば、株価の変化がX1=10%で、収益の変化がX2=-10%とすると、f=5%となる。
同時分布に対して、X1、X2がそれぞれ従う確率分布を周辺分布という。
多変量正規分布
仮にX1、X2が正規分布に従っていたとすると、同時確率分布は相関Σの正規分布に従う。
Σは2変量の場合、
となる。σ1はX1の標準偏差、σ2はX2の標準偏差、σ12はX1とX2の共分散である。
さらに、X1とX2の相関係数ρは、
で表すことができる。
(参考):
そして、正規分布であるn変量の同時確率分布は、
となる。ここで、xは確率変数x1からxnのベクトル、μはその平均のベクトルである。
なお、2変量の場合、ρを用いて、
と表すことができる。