<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

通貨危機のメカニズムについて

1997年に発生したアジア通貨危機では、固定相場制(ドルペッグ制)を採用していたタイが変動相場制への変更を余儀なくされ、バーツの価値が急落してしまった。

 

固定相場制を維持するためには、自国通貨のマネーサプライの調節を通じて金利を一定にし、為替レートを一定に保つ必要がある。これを実現するには、中央銀行等が保有する外貨準備が必要になる。例えば外国の金利が上昇したことにより、自国の貨幣需要が減少した場合を考える。市場原理に任せると自国通貨が減価してしまうので、為替レートを一定に保つために通貨当局は為替介入を行う必要がある。具体的には、通貨当局の保有する外貨準備を市場で売却し、代わりに自国通貨を購入する。こうすることによって自国の金利を一定に保ち、為替レートを一定にする。

 

97年のタイのケースでは、ヘッジファンド等の投機的行動(具体的には、バーツの大量の空売り)が通貨危機の引き金になった。上述の通り、通貨当局がこうした状況下で固定相場制を維持するには、外貨準備と引き換えに自国通貨を購入するという為替介入を行う必要がある。しかし、その外貨準備(ドル)が枯渇し、変動相場制への変更を余儀なくされた結果、通貨危機(バーツの価値の大暴落)へとつながった。

 

通貨危機の理論的なメカニズムは複数存在し、例えば竹田(2007)に詳しい。

 

(参考):

www.iima.or.jp

竹田憲史(2007)「通貨・金融危機の発生メカニズムと伝染:グローバル・ゲームによる分析 」日本銀行金融研究所 金融研究2007.4