<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

固定相場制と外貨準備

固定相場制を維持するためには、自国通貨のマネーサプライの調節を通じて金利を一定にし、為替レートを一定に保つ必要がある。これを実現するには、中央銀行等が保有する外貨準備が必要になる。

 

例えば外国の金利が上昇したことにより、自国の貨幣需要が減少した場合を考える。市場原理に任せると自国通貨が減価してしまうので、為替レートを一定に保つために通貨当局は為替介入を行う必要がある。具体的には、通貨当局の保有する外貨準備を市場で売却し、代わりに自国通貨を購入する。こうすることによって自国の金利を一定に保ち、為替レートを一定にする。反対に自国通貨の為替需要が増加し自国通貨に増価圧力が加わった際には、外貨と引き換えに自国通貨を売り、市場に自国通貨を供給する。

 

このように、為替介入においては外貨準備が重要な役割を担い、相応の外貨準備を蓄えておく必要がある。通貨当局がマネタリーベースと同量以上の外貨準備を保有している場合、その国の為替相場制度を「カレンシー・ボード制度」という。通貨当局のバランスシートを単純化して考えると、負債側は流通する自国通貨と預金準備で構成される。カレンシー・ボード制においては、資産側は全て外貨準備ということになる。つまり、全ての自国通貨を完全に外貨に兌換することを保証する制度であると言える。

 

自国通貨の増価を防ぐために、外貨を購入し自国通貨を市場に供給する場合を考える。この為替介入によって、マネタリーベースが増加するので、インフレ等の懸念が生じる。これを防ぐために、自国通貨の市場への供給と同時に通貨当局の保有する国内信用(債券など)を行うと、マネタリーベースを一定に保つことができる。これを「不胎化介入」という。カレンシーボード制においては通貨当局の資産は全て外貨準備になるので、不胎化介入を行うことはできない。

 

(参考)

glossary.mizuho-sc.com

(参考):

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